今は自虐よりも「ありがとうございます!」
──最初はうまくいかなかった芸能活動だったのに、20年も続きました。
地下でアリの巣を掘っていれば幸せだったような学生時代に比べると、とんでもないところに来たなって思いますね。
人がこわい、世界がこわい、朝が来るのがこわい。ラジオ体操の歌が聞こえてきたら寝る。毎日がいやだ。部屋でこっそり楳図かずお先生の絵を模写して、アニソンとアイドルの歌を聞きながら、こっそり自分でも歌って踊って。デビューする前の15歳くらいまでは、ずっとそういう生活でしたから。
20周年でこんなに素敵な写真集も出すことができて、奇跡の連続にただただ感謝です。帯にも書いてある「生きた証」というキーワードは、デビュー前からずっと考えていたことで、その集大成として、この写真集は永久保存版の1冊にしようと思って作りました。
──最近になってからの、気持ちの変化などはありますか?
最近は自虐禁止にしたんです。これまでの私の自虐的なキャラに共感してくれて、だからこそ応援してくださった方々への感謝は忘れませんが、今は自虐よりも、褒められたら「ありがとうございます!」って言うように決めたんです。
それと、無理して陽キャを演じるのではなく、陰キャのまま陽キャのやることをやってみようって。YouTubeで水着姿を披露したこともそうですし、この写真集もそう。車を運転するようになったのも、その一環ですね。
人ってどうしても、自分が全盛期だった頃のメイクをずっと引きずるみたいなことがあるじゃないですか。でも、それだけじゃもったいないなって。いつまで「しょこたん」っていう10代の頃からのニックネームで呼んでもらえるかもわからないですし、年齢を重ねたことで「翔子さん」と言ってくださる方もいて。
呼び名ひとつとっても、変わらないこともあれば、変わっていくこともある。「しょこたん」にしかできないこともあるし、「翔子さん」だからこそ似合う服もある。そういう変化はすべて受け入れようって思います。
なので今回の写真集でも「しょこたん」ではなく「翔子さん」の表情や衣装を多く取り入れてみました。これまで見せてこなかった私の今のありのままを見て欲しかったんです。
──今後はどういった活動をしていきたいとか、ありますか?
絵を描いて歌う人になりたいです。憧れはシャンソン歌手。加藤登紀子さんや美輪明宏さんのような。愛を知り、愛に傷つき、壮絶な人生の体験があるからこそ、深みと重みのある歌が歌える。そういう歌手を目指して生きていきます。
取材・文/おぐらりゅうじ 撮影/井上たろう