30年以内に震度6弱以上の激しい揺れが襲う確率…東京47%

静岡県立大の楠城一嘉特任教授(地震学)は、今回の地震が陸のプレートの下に海のプレートが沈みこむことにより、地殻内部で断層が急激にずれ動く「逆断層型」の地震だと解説する。伊豆半島の東側でフィリピン海プレートが沈むことで起きた逆断層型地震では101年前の関東大震災が大きな被害を出したことで知られる。

ただ楠城氏は「関東大震災級の規模の地震を引き起こすひずみのエネルギーが蓄積されるまでには数百年間かかるとみられていますが、そこまでの時間はまだたっていません」と話す。

1923年9月、関東大震災で被災した東京・銀座4丁目交差点付近(共同通信社)
1923年9月、関東大震災で被災した東京・銀座4丁目交差点付近(共同通信社)

楠城氏はまた、甚大な被害が予想される南海トラフ地震との関係について「南海トラフ地震は伊豆半島より西側に沈むフィリピン海プレートが引き起こします。今回の地震は東側で起きており、これが南海トラフ地震に何らかの影響をあたえる可能性は高くないでしょう」とみる。

だからといって首都圏のみならず、日本全国の市民が慢心していい状況にはない。政府の地震調査委員会は2021年春、今後30年以内に震度6弱以上の激しい揺れが襲う確率を地域ごとに示した予測地図を公表している。それによると東京(新宿区)は「47%」。関東大震災とは違うメカニズムの地震が起きる可能性はいくらでもある。

さらに、同委は活断層の危険度に関する長期評価について、陸の活断層に限ってきた対象を、2017年に海底の活断層にも広げたが、評価が終わっているのは九州・中国地方北方沖だけだ。

マグニチュード7.6、最大震度7を記録し200人以上の死者を出した元日の能登半島沖地震に関しては、震源域の能登半島沖は評価に向けた検討段階で、昨年から地震が頻発していた中、この地域に大地震が起きる可能性があるとの見方は出ていたものの、住民に十分に伝わっていなかった可能性がある。

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楠城氏は「4つのプレートが周囲にある日本では、活断層があろうとなかろうと、どこで地震が起きてもおかしくない。今回の地震を、家具の固定や水の備蓄の確認、避難時に持ち出すグッズを点検するなど、防災のための行動を起こすきっかけにしてほしい」と話している。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班