出店形態を変化させるライフコーポレーション

チェーン展開は本部主導であるため、年功序列の硬直的な組織になりがちだ。ヒエラルキーが形成されて、上層部が決めたことを現場スタッフが粛々と進めるという運営体制になりやすい。

消費者の需要が旺盛な時代であれば、効率運営の観点からこのやり方は正しいといえる。しかし、消費者の選ぶ幅が広がって集客力を失っている場合、買い物客や地域の動向を知り尽くした現場スタッフの意見のほうが理にかなっていることもある。

ユニーは買収後、本社の商品本部、営業本部、営業企画本部をまとめて営業本部傘下とし、組織をフラット化して人員を1/3に圧縮した。これにより、社内の風通しがよくなって現場の声が通りやすくなった。顧客優先主義の組織体制を作ることができたのだ。

総合スーパーの「ユニー」(※PPIHホームページより)
総合スーパーの「ユニー」(※PPIHホームページより)

さらに権限を店舗側に委譲し、売価権限、陳列方法の権限、ポップの権限、売り切りの権限を与えている。その結果、店舗独自の売場戦略を構築しやすくなった。これであれば、顧客動向を見て販売方法を変えるPDCAサイクルを高速化することができる。

ユニーはチェーンストアでありながら、地域密着型の店舗へと生まれ変わることができた。
これとやや似ているのが、ライフコーポレーションだ。ライフは2023年3-11月の小売事業の売上高が5804億円、セグメント利益が195億円だった。営業利益率は3.4%だ。同事業は2021年2月期から2023年2月期まで、3期連続で利益率が3%程度で推移している。収益性が安定した会社だ。

ライフは出店コンセプトにおいて「地域密着」を何よりも重視しており、大型の総合スーパー、衣料品の取り扱いがあるスーパーとの複合型、食料品主体のスーパーマーケット、都心の小型店と、出店形態を多様化させている。基本的に駅前を中心に出店しているが、その場所で消費者が何を求めているのか、見極めているのだ。