ニ、夏限定の日本酒あれこれ

マスミ せっかくだから、それぞれ選んで、シェアしながら飲もう。
ヨウコ ぜひ! 私何にしようかなぁ。自分で選んでみてもいいですか?
マスミ もちろん。わからなかったら聞いてね。

ヨウコは、オススメの日本酒が書かれたホワイトボードに注目する。

ヨウコ “吟醸”って書いてあるのが飲みやすいんですよね。先輩、あのボードに書いてある、“夏純吟”? あれも吟醸の一種ですか?
マスミ うん。純吟は純米吟醸の略ね。夏にピッタリの純米吟醸ってこと。
ヨウコ いくつかありますね。お酒の名前ってやっぱり読むのが難しい~。
えっと、文…人…おばけラベル? Ci…アルファベットのはなんですかあれ!???
マスミ おばけラベルは、文佳人(ぶんかじん)っていう日本酒の夏酒専用のラベルで、おばけラベルが出ると、「ああ、夏がくるな」って思うワケ。
夏酒といっても、早いものだとゴールデンウィーク頃から出回るけど。
ヨウコ まあ夏物の服も早いところは早いですもんね。あのアルファベットの方は?
マスミ アルファベットの方は、Cicalaって書いて“チカーラ”って読むのよ。イタリア語で蝉のこと。
ヨウコ イタリア語! 何それオシャレですね!
マスミ Cicalaは「三井の寿」(株式会社みいの寿)で知られる福岡県の日本酒で、あの有名なバスケ漫画『スラムダンク』風ラベルのお酒もあるのよ。
ヨウコ へええ、見てみたいですね…! おばけも蝉も夏らしくて面白い! “ひと夏の恋”なんてお酒もあるんですね(笑)。
マスミ それが、ちょっぴり甘味のある爽やかな味なの(笑)。
ヨウコ 迷っちゃうな。じゃあ、おばけラベルの文佳人にしてみます!
マスミ ひと夏の恋にするかと思った(笑)。
ヨウコ 最初は、ひと夏じゃない恋がいいです(笑)。
マスミ おばけに化かされるのとどっちがいいのかなぁ(笑)。
ヨウコ もー、先輩!
マスミ ええと、じゃあ私は磯自慢の吟醸にしよう。
ヨウコ どんなお酒なんですか?
マスミ 透明感のある甘味があって、口当たりがやさしいの。着心地の良い定番の白シャツみたいなイメージ。
ヨウコ ところで、純米がついてるのとついてないのでは、何か違いがあるんですか?
マスミ いいとこついてくるなぁ。これ説明が難しいんだけど…。

ちょっと思案顔のマスミ先輩。

マスミ “純米”の肩書がつくかどうかは、日本酒を造るときに、醸造アルコールを使用するかしないかでわかれるの。
ヨウコ ふーん、どっちがどっちなんですか?
マスミ “純米”を名乗る日本酒は醸造アルコールを使わないで醸したお酒。“純米”がないのは、醸造用アルコールを使っているお酒。
ヨウコ アルコールを足すってことですか?
マスミ 誤解しないでね。かさまし的な意味で使用するんじゃないの。香りを出しやすくしたり、味のキレをよくするためのものなの。
ヨウコ 掘り下げると、なんだか難しそうですね。
マスミ そうなのよ(笑) まあ、とにかく実際に飲んでみようよ!

日本酒を飲んでみたらオイシイことだらけだった 第2回_b
ラベルも名前も個性的。爽やかな味わいの夏酒たち。おばけラベルの「文佳人」(株式会社アリサワ)は高知県、「ひと夏の恋」(株式会社新澤醸造店)は宮城県の日本酒だ。