念願叶って「カーペンターズ」が誕生

ラジオから自分たちよりも演奏の未熟なバンドの音楽が聴こえてくるたびに、どうして自分たちの音楽は認められないのかと、リチャードとカレンは不満を募らせた。

それでも彼らは今の自分たちの音楽のままで成功するはずだと信じ、ライブハウスを回るなど熱心に活動する。しかし、状況が進展することのないまま1年以上が過ぎ、スペクトラムはとうとう解散してしまう。

そんな1968年の初夏。残されたリチャードとカレンのもとに、ある情報が入ってきた。

新しく始まったテレビ番組『ユア・オール・アメリカン・カレッジ・ショー』が、あちこちの大学キャンパスでオーディションを開催しているというのだ。

2000年9月27日発売の『ヴォイス・オブ・ザ・ハート』(ユニバーサル ミュージック合同会社、オリジナルは1983年1月1日発売)のジャケ写。カレンが亡くなった後、1983年に兄のリチャードが残されたカレンのヴォーカルをもとにアルバムとして完成させたもの
2000年9月27日発売の『ヴォイス・オブ・ザ・ハート』(ユニバーサル ミュージック合同会社、オリジナルは1983年1月1日発売)のジャケ写。カレンが亡くなった後、1983年に兄のリチャードが残されたカレンのヴォーカルをもとにアルバムとして完成させたもの
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全国ネットのオーディション番組への挑戦は、自分たちの音楽が普遍的な魅力を持ち、商業的にも価値のあるものだということを証明し、そして多くの人たちに知ってもらう、またとない機会だった。

6月22日、二人は初めてのテレビ出演を果たした。演奏レベルの高さもさることながら、巧みにドラムを叩きながら歌うカレンの姿には、レコードでは伝えられない新鮮さがあった。二人は見事にオーディションを勝ち抜き、その後も何度か番組に出演した。

そして翌1969年。A&Mレコードと契約を交わし、「カーペンターズ」が誕生したのだった。