念願のマイホームを家族へプレゼントしたばかりだった…
亡くなったもう一人、リッチー・ヴァレンスについても触れておきたい。本名はリカルド・エステバン・バレンスエラ・レジェス。生まれはロサンゼルス近郊だが、メキシコ人の血が流れている。
貧しい移民コミュニティの中、女手一つで育てられた。メキシコの伝統的なマリアッチ、アメリカR&Bなど幅広い音楽を耳にしていたリッチーの夢は、ロックンロール・スターになって、農場で働く母親とまだ幼い妹たちにマイホームをプレゼントすることだった。
地元のバンドのメンバーになったリッチーは練習に励みつつ、やがて自分のバンドを結成して才能が開花。1958年に『カモン・レッツ・ゴー』でレコード・デビューを果たすと、リッチーの人生は変わり始める。続くシングル『ドナ』/『ラ・バンバ』が大ヒット。念願のマイホームも母親にプレゼントすることができた。
このあたりは伝記映画『ラ・バンバ』(1987)をぜひ観てほしい。わずか17歳で伝説となってしまったリッチー・ヴァレンスの青春と恋、家族と兄弟愛、そして音楽への情熱を描いた素晴らしい作品だ。
生前にリリースされたシングルはわずか2枚と、その生涯はあまりにも短すぎたが、こちらもカルロス・サンタナをはじめとしたラテン系ミュージシャンへの影響ははかりしれない。
文/TAP the POP