念願のマイホームを家族へプレゼントしたばかりだった…

亡くなったもう一人、リッチー・ヴァレンスについても触れておきたい。本名はリカルド・エステバン・バレンスエラ・レジェス。生まれはロサンゼルス近郊だが、メキシコ人の血が流れている。

貧しい移民コミュニティの中、女手一つで育てられた。メキシコの伝統的なマリアッチ、アメリカR&Bなど幅広い音楽を耳にしていたリッチーの夢は、ロックンロール・スターになって、農場で働く母親とまだ幼い妹たちにマイホームをプレゼントすることだった。

地元のバンドのメンバーになったリッチーは練習に励みつつ、やがて自分のバンドを結成して才能が開花。1958年に『カモン・レッツ・ゴー』でレコード・デビューを果たすと、リッチーの人生は変わり始める。続くシングル『ドナ』/『ラ・バンバ』が大ヒット。念願のマイホームも母親にプレゼントすることができた。

2013年8月7日発売の『Ritchie Valens / ラ・バンバ』(WARNER MUSIC JAPAN)のジャケット写真。17歳という早過ぎる死の直前に残された音源を集めた唯一のアルバムを国内初CD化したものだ
2013年8月7日発売の『Ritchie Valens / ラ・バンバ』(WARNER MUSIC JAPAN)のジャケット写真。17歳という早過ぎる死の直前に残された音源を集めた唯一のアルバムを国内初CD化したものだ
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このあたりは伝記映画『ラ・バンバ』(1987)をぜひ観てほしい。わずか17歳で伝説となってしまったリッチー・ヴァレンスの青春と恋、家族と兄弟愛、そして音楽への情熱を描いた素晴らしい作品だ。

生前にリリースされたシングルはわずか2枚と、その生涯はあまりにも短すぎたが、こちらもカルロス・サンタナをはじめとしたラテン系ミュージシャンへの影響ははかりしれない。

文/TAP the POP