5歳の息子が写真家に教えてくれた知識や技術より大切な写真のこと 「カメラじゃなくて写真をやるんだよ」
写真は、技術がうまいからいい写真であるとは限らない。それはなぜか。即完売の超人気ワークショップを主宰する写真家・幡野広志氏が5歳の息子に教わった写真の真実を、著書『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』から一部抜粋・再構成してお届けする。カメラの性能や専門的な知識より、もっとも重要なこととは。
うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真 #4
保育園の先生に見せてあげたくて
次の写真は息子が5歳のときに撮った花火大会の写真です。中判のデジタルカメラで2㎏ちかくあって子どもには重かったはずです。手持ちで撮影していたからブレてるんだけど、この写真をプリントしてほしいと子どもにお願いされました。
理由を聞くと保育園の先生に見せてあげたくて撮ったそうです。写真は誰かに伝えたくて撮ります。誰かに何かを伝えたいから撮ります。ぼくは写真の本質を5歳の息子から教わったような気持ちになりました。
写真はかんたんです。誰でも撮れる。むずかしくしようと思ったらどこまでもむずかしくできるけど、かんたんにしようと思ったらどこまでもかんたんにできます。まずはかんたんにいきましょう。
文・写真/幡野広志 (すべて書籍『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』より)
#1 ヘタだけど、いい写真とは
#2 写真はいつか宝物になる
#3 子どもの写真を撮るときに一番気をつけたいこと
うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真(ポプラ社)
幡野広志
2023/11/15
1650円
271ページ
ISBN:978-4591179307
ほとんどの人に写真の才能がある。でも、多くの人が写真を誤解している――即完売の大人気ワークショップをベースに幡野広志が書き下ろす、できれば触れたくなかった「写真の話」。いい写真とうまい写真はちがう。だめな写真とへたな写真も同じ意味じゃない。うまくてだめな写真もあるし、ヘタだけどいい写真もある。「いい写真」を知り、「いい写真」を撮ろう。写真の価値観が変わる、写真初心者必読の1冊。