せめて初回の雪山登山だけでも、登山ガイドに同行依頼を!

ここまで雪山登山のリスクや事故の話ばかりだったが、とはいえ、雪山登山には他にはない魅力があるのは間違いない。上田さんが感じる雪山の魅力は、静寂。青空の下、アイゼンを付けた靴で歩くと、「シャク、シャク」という足音だけが静寂の中に響き渡る。

そして登った先に待っているのは、山頂から見渡せる一面の絶景だ。空気の澄んでいる冬だからこそ、遠くの山々まではっきりと目に映る。

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では、これから雪山登山に挑戦する人は何を意識すべきなのか。

「登山ガイドに同行を依頼するのが望ましいです。せめて初回の雪山登山だけでも。もし登山ガイドなしで登るなら、事前に講習会に参加して、アイゼン装着・歩行の方法やピッケルの使い方など、雪山登山の基本を学んでください。何が危険かわからないまま雪山に登るのが、一番危険です」

雪山で起こりやすい凍傷や低体温症は、いうなれば「ヒューマンエラー」だ。ちゃんと準備さえすれば防げる。また、危険度が高い雪山については、「日本雪崩ネットワーク」というサイトで雪崩情報が日々配信されている。雪山登山の前には必ず確認するようにしておこう。

みんなが登っている有名な山が安全だとは限らない。万全の準備をして雪山に登り、“人生の景色がガラリと変わる瞬間”を味わってみてほしい。

取材・文/ayan 写真/上田洋平