取材した中でボツにせざるを得ないネタとは
−−ふだん溜め込むことが多い分、話せる機会は貴重なんですね。シリーズを通してたくさんの刑務官が登場しますが、どのように協力者を見つけているのでしょうか。
紹介の連続です。実は刑務官って、横のつながりがけっこう強いんです。なので、協力的な方と出会えたことで芋づる式に輪が広がっていきました。
−−かなりクローズでドライな世界だとばかり思っていました。さて、本作はご自身の体験やアイデアベースのお話ではない分、ネタ収集やその精査に労力がかかる作品かと思います。漫画作りの簡単な流れを教えていただけますか?
おかげさまで複数の刑務官の方に協力していただいているので、ネタは常にストックしていけています。とにかく雑談ベースでお話しして、それをスマホのメモとかに簡単にまとめておくんです。漫画を描くときは、そのメモを見返して、いいものがあったらそれに類するものをかき集めて…といった感じです。
−−刑務官の方とは、直接会って情報提供してもらうのでしょうか。
そういうときもありますが、日々LINEや電話などでカジュアルにやり取りしてます。なので鮮度の高い情報が入ってくるんです。
−−現場のリアルな情報が入ってくるとなると、かなり重たい話もありそうですが、漫画に“しなかった”あるいは“できなかった”ようなネタもあるのでしょうか。
けっこうありますね。個人が特定されてしまうような話は漫画にしないようにしています。どんなに興味深い話でも、被害者の方や関係者の方に迷惑がかかる可能性があるので。