ヤマトに残っても給料減額、未経験作業への不安

首都圏でメール便ドライバーとして働く50代の女性パート社員も同じ打診を受けたという。

「11月に支店長に呼ばれて『もしよければ、荷物の仕分けか受付業務に移ってもらえないか』と。理由を聞いても、『上からの指示なので……』と話すのみで支店長もよくわかっていない様子でした。私以外のパート社員もみんな配置転換の相談があったみたいで、一様に驚いていました」

これは一見、クロネコメイトやパート社員にとっては朗報に聞こえるが、実はそうでもないらしい。女性ドライバーは続ける。

(撮影/集英社オンライン)
(撮影/集英社オンライン)

「配置転換にあたって、これまで1日7時間労働のシフトだったのですが、5時間に短縮するのが条件とのことでした。たとえ1日2時間の短縮でも、月給にしたらかなり収入が減ってしまいますし、そもそも仕分けや受付も未経験。またイチから仕事を覚えなくてはいけないのかと思うと憂鬱ですね。

支店長も『これからヤマトはどうなるのかね、俺たちもいつ切られるかわからないよ』とため息をついていました」

前出の40代の男性ドライバーも「メール便の仕分けは小物荷物なので割合として多い50~60代のパートさんや女性でもこなせたけど、宅急便の仕分けは重い荷物もまわってくるし、負担が大きくなってしまうのでは」と心配する。

また、ヤマト運輸は今回の契約終了にともない、個人事業主には1人あたり3〜7万円の「謝礼金」、パート社員には、基本給3ヶ月分相当の「慰労金」を支払うとしている。去年10月には、契約終了の対象となった従業員に向けた転職支援サイトを開設したという。

しかし、この転職支援サイトは都心に近いエリアなら他社の事務やお弁当の配達といった仕事の斡旋もあるが、市街地から離れた場所に住む前述の50代・女性ドライバーはこう吐き捨てる。

クロネコヤマトの営業所(撮影/集英社オンライン)
クロネコヤマトの営業所(撮影/集英社オンライン)
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「転職サイトは正直言って使いモノになりませんでした。試しにサイトをのぞいてみても、私の住んでいるような田舎じゃDM便やネコポスを請け負った日本郵便の求人ばかり。これじゃなんのための協業で、なんのための委託・パート切りかわからない。

しかも、日本郵便の求人はヤマトに比べて労働条件の融通がきかない。だからヤマトを辞める人は謝礼金や慰労金で食いつないで転職活動しなくちゃいけないのに、まさか転職サイトがあそこまで役に立たないとは……」

ヤマトを続けるべきか、それとも転職すべきか。契約を切られるクロネコメイトやパート社員は苦渋の選択を迫られている。後編では、ヤマト運輸の正社員の本音に迫った。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

#1<ヤマト運輸3万人委託終了>「ただのコストカット」「面倒くせえなとしか思わない」個人事業主の配達員のみならず、ヤマト正社員や郵便局員からも批難轟々。本社の回答は?
#2<ヤマト・3万人個人事業主切りで新事実>メール便仕分け担当の契約社員数千人もリストラ対象。「説明会は15分で終了」「ヤマトは人を大切にする会社じゃなかったのか」