「政憲のしたことを考えれば……極刑……でしょうね」
知人から見た青木被告は、両親の操り人形というわけではなかったという。
「政憲は母親の経営するジェラート屋も手伝っていて、とても研究熱心に働いていました。寡黙でしたが、私にとってはいい子でした。母親は『政憲が抱えていたものになぜ気づけなかったのか』と自分をずっと責めていて、自分の親族たちにも迷惑がかかることを恐れて、どこで生活しているのか居場所も告げていません。
事件後、私が最後に見たときも驚くほど瘦せてしまって、今にも死んでしまうのではないかと心配になるほどでした。両親ともに今は働いたり、ジェラート屋などはやっていないと思います。政憲のお父さんも事件後、市議を辞めましたが、それは妻を1人にしておけないという理由もあったと思います。政憲の家が裕福だ、名士だと好き勝手報じられていますが、私が知る限りはジェラート屋も借金がまだあったし、お金持ちではありませんよ」
両親も親族も知人も、4人の命を瞬時に奪うほどの「動機」が思い当たらないのだという。知人が続ける。
「当人しかわからないと思いますよ。でも政憲は弁護人にすら自分のことを話さず、弁護人も困っていると聞いています。弁護士が今の政憲の唯一の味方なのに。自暴自棄になっているのか、いったい何を考えているのか……。何があってあんな大きな事件を起こしてしまったのかは本人にしかわからないわけですから。政憲のしたことを考えれば……極刑……でしょうね。
政憲の両親は月命日に遺族の方のもとに謝罪に行き、手紙を渡そうとしているそうですが受けて入れてもらってないと聞いています。遺族の方々の気持ちを考えればそれは当然のことだと思います。これは事件が起きてから初めて実感したことですが、本当に全員が苦しむ。被害者遺族の方々をはじめ、加害者家族も……」
幼いころから成績優秀で、野球などの部活動にも打ち込み、高校も地域で1番の名門校に進んだものの、大学進学後に人間関係でつまずき中退、帰郷後は農業に活路を見出していた青年。挫折というほどの挫折も経験していないように見える青木被告の半生に、いったいどんな闇があったのか。
それが法廷でつぶさに明らかにされない限り、犠牲者の魂は彷徨い続けることになる。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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