もめごとでかけつけた救急隊は「いちいち呼ぶな」

この日も、深夜にもかかわらずひとりで質屋に入っていく女性たちの姿がポツポツと見受けられる。そのうちのひとりに声をかけると、しぶしぶ口を開いた。

質屋にひとりで入っていく女性(※本文中の女性ではありません)
質屋にひとりで入っていく女性(※本文中の女性ではありません)

「この前、客のオッサンにもらったヴァンクリ(ヴァンクリーフ&アーペル)のネックレスを預けにきたんですよ。クリスマスは絶対に担当とアフターしたいので、お金が必要なんです。
マジで最近、ホスクラに行ったら担当被り(同じ担当ホストの女性客がいること)が多くなってきてムカついてて。だからクリスマスは負けたくないんですよね」

また、トートバッグを担いでひとりラブホテルに入っていく、デリヘル嬢とみられる女性の姿も目立つ。

「基本的に風俗やってる子ってホスト好きが多いので、みんなクリスマス当日に向けて”鬼出勤”してるんですよ。とくにこの時期だと『円盤交渉』(本番行為の金額交渉)することも多くて、いつもは本番行為をさせていないお客さんに対して『あと2万円で本番いいよ』と言ってみたり、ゴム付きのお客さんに対しては『生でしたいけどあと5万円ほしいな~』と言ってみたり……。
パパ活とは違い、お客さんとトラブルになっても店が責任を負ってくれるので安心してそういう交渉ができるんです」(前述、30代女性)

ラブホテルに入っていく男女
ラブホテルに入っていく男女

時刻は深夜3時すぎ。夜が更けるにつれて、ホストらしき男性とラブホテルに入っていく女性や、「いやだ~、帰りたくない~!」と路上で泣き叫ぶ女性も見られるようになった。嘔吐しながら倒れている男性もおり、カオスな光景が広がっている。

そんな歌舞伎町を歩いていると、一軒のホストクラブの前に7、8人の救急隊員が押し寄せていた。店から出てきたのは、手をガーゼのような布で巻いている男性だ。誰かに切られたのだろうか、布には赤い血がにじんでいた。

ホストクラブでいざこざがあり流血騒動に。救急隊がかけつけたが、大事にはいたっていないようだった
ホストクラブでいざこざがあり流血騒動に。救急隊がかけつけたが、大事にはいたっていないようだった

救急隊員の男性に声をかけると、呆れながらこう答える。

「ああ、よくあるお店でのいざこざですよ。通報があったので一応、担架を持ってきたんですけど軽傷でしたね。歌舞伎町ではよくあることだし、こんなケガでいちいち呼ぶなって感じです」