「パンダくん以外にも薬を安く売ってくれる人はいる」
巨大バリケードが設置された当日に現地を訪れると、そこにトー横キッズの姿はなかった。代わりに彼らがたむろしていたのは、広場の隣のゲームセンター「GiGO新宿歌舞伎町店」前の路上や、新宿東宝ビルの裏路地だ。
こちらでもトー横と変わらず、未成年と思われる若者が缶チューハイを飲み、吸い殻を路上に捨てる姿が見られた。約1年前からトー横に通っているという16歳の少年は、シネシティ広場に置かれたバリケードについてこう話す。
「今年の3月にもバリケードが張られたことはあったけど、今回は資材置き場みたいな感じで完全に閉鎖されちゃってるんで、お手上げですよね。あそこ(シネシティ広場)で寝泊まりしてた人も、警察に布団を没収されたっぽくて……。たぶんこの前、小6の子が補導されたから警察も本気出してきたんじゃないかな」
警視庁が行なった一斉補導後は、未成年も夜10時ごろまでには帰るようにして警察の目をかいくぐっているというが、ふだんの”遊び”はほとんど変わらないという。
「今はシネシティ広場が使えないけど、正直な話、場所とかはどうでもいいんですよ。別に、どこで集まっても“鏡月イッキ”とかODするだけなんで、バリケードなんて大した問題じゃないんですよね(笑)」
11月末までのトー横エリアの補導件数は約860件で、すでに去年の約1.5倍にのぼる。少年少女らが犯罪に巻き込まれるリスクがあるとみて、警視庁は年末年始にかけても補導を行なっていくという。そんななか、トー横キッズたちはどのようなクリスマスや年末年始を過ごすのか。
約半年前からトー横に通う17歳の少年はこう語る。
「うーん……。どうせ予定もないので、クリスマスはトー横で過ごすことになりそうですね。ここに来れば誰かしらいるから寂しくないんで。
何をやるって? 酒をたらふく飲むか、みんなでODするくらいかな。この前、“パンダくん”が捕まりましたけど、それ以外にも市販薬を売ってくれる子はトー横にいるんで。せっかくのクリスマスなんだし、コンビニで買ったケーキにせき止め薬を入れて食べるのとかおもしろそうっすよね」