「児童相談所も慎重に家庭引き取りを進め、一生懸命支援していた」
外部有識者委員会の報告書によると、2022年4月1日に乳児院職員が家庭訪問した際、退所翌日にもかかわらず空来ちゃんの顔にアザができていたが、その様子が児相の援助方針会議で共有されていなかった点を指摘し、「乳児院からの連絡を通告と同様に捉え、児童相談所として対応を直ちに判断する必要があった」としている。
また家庭訪問後、事件発生までのおよそ3週間、新型コロナが感染拡大する中で、発熱を理由に田代被告が面会を断り続けていたということで、児相が面会できなかった点を指摘し「感染対策を講じた上で、アポイント無しによる家庭訪問を実施するなど、児童相談所として本児の安全を確認するため、最大限の努力をする必要があった」と課題点を挙げた。
今回の事件を踏まえ、保護児童の家庭引き取りにおける支援体制について「子供に起き得るリスクについて、児童相談所の再介入の必要性を判断するための基準を設け、対応手順や関係機関との役割分担等を確認しておく必要がある」と提言した。
また、外部有識者委員会の荒木田美香子委員長(川崎市立看護大副学長)は、検証での会合の様子をこう語った。
「報告書を読んでいただくとわかると思いますが、今回の件において、児童相談所も慎重に家庭引き取りを進め、一生懸命支援していたのがわかります。しかし、改めて不十分な箇所も見えたところがあり、真摯に向き合っていた分、児童相談所も深く反省していたように思いました」