若返りを目指す銀座、さらなる複合的な顔を持つ街へ
銀座といえば、どうしても“経済的に裕福な年代高めの人々の街”というイメージを抱きがちだが、それは街の一面にすぎない。
「今回、オーケーが出店した場所は有楽町駅に近く、銀座ではもともと若いビジネスパーソン向けの店があるエリアでもあります。つまり銀座は昔から、高級ショッピングだけでなく、リーズナブルな買い物もできる一面もあり、複合的な街だったのです。
そして、そこに手頃な価格帯で集客力を持つ企業がさらに入ってくれば、若者層を呼び込みイメージを一新できると考えているのではないでしょうか。つまり、街の若返りを目指したい銀座にとっても、旗艦店としてアピールしたいオーケーのような企業側にとっても、WIN-WINな進出なのだと思います。
銀座は築地や日本橋、浅草など江戸情緒を感じる街が隣接しており、他の高級エリアと比べても独特な街です。そのためインバウンド消費のボリュームが大きく、日本人が買い物する街というだけでなく、訪日観光客向けの街にもなりつつあります。
コロナ禍での制限がまだあった昨年の段階で、ダイソー、3coins、ワークマンなどを出店させたのは、旅行で訪れた外国人客が戻ってきた際に、リーズナブルな価格帯でお手頃なお店が密集している街としてアピールできると考えた、先行投資的な意味もあったのかもしれません。
高級な街というイメージが急激に変化するわけではありませんが、ブランド品だけではない“お得な街”というイメージを抱くようになるかもしれません」
オーケーのような格安チェーン店の銀座進出は一見すると違和感があったし、うがった見方をすると銀座の持つ高級なイメージやブランド力が衰退しているのではないかとも思えた。
しかし、必ずしもそうではなく、ショッピング街として新たな魅力を発信して街全体を若返らせていくために、手頃な価格のブランドを銀座に呼び込んで、若年層やインバウンド客などを取り込む戦略に舵を切っているということだ。
取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio) 写真/shutterstock