人工授精を考えたことも
――そうなんですね。ちなみに美川さんの恋愛対象は女性ですか?
まあ童貞を失った相手は女性だったわね。
――結婚を考えた女性ですか?
それよりもっと若いときね。10代のころ。年上の水商売の女性でした。
――若かりしころの美川少年があまりにかわいいから誘われちゃったと。
そうね。10代のころは男にも女にも声をかけられたわね。でも男の人も別にゲイってわけじゃなくてノーマルだった。私にあやしい魅力があったのかしら(笑)。
それで母に「男に声をかけられた」っていうと「あんたがかわいいからよ」って。
それと「だめよ、ちゃんと自分を守らなきゃ」とも言われたわね。まるで女の子扱いよ(笑)。
――そういうなかで、男性との恋愛経験もあったんでしょうか?
もちろんあったわよ。若いころね。だから恋愛対象に男女の線引きはないと思います。
――男性にしろ女性にしろ、美川さんはどのような人に魅力を感じますか?
一目惚れとかはなくて、お話をしたりお食事をしたり、付き合っていくとだんだんその人の人間性がわかってくるじゃない。それでステキだなと思ったら……って感じかしら。
割と恋愛は時間をかけてじっくり慎重に人間を見るタイプかもしれないわね。
一目惚れなんて間違いをおかしそうで怖いじゃない、ね?
――子どもがほしいと思ったことは?
若いときはほしかったわよ。結婚はできないから、アメリカとか韓国で、自分の精子で人工授精をやってもらうことを考えたくらい。
でも当時はお母さんがいないっていうのは子どもに肩身の狭い思いをさせるんじゃないかと思って諦めました。私も男だから意外と厳しく育てちゃうと思しね。
――子ども自身のことを考えて諦めたと。
でもね、私も寂しく育ってきた子供だから。そういうなかで育ったからこそ強くなれて、この世界で58年もやってこれたんだと思う。