電子レンジでの再加熱では殺菌できない
では、セレウス菌感染症を未然に防ぐためには、どのような点に注意すればよいのだろうか。
東京都保健医療局が公開している情報では、以下のような注事事項が記載されている。
この菌は耐熱性(90℃60 分の加熱に抵抗性)の芽胞を形成します。増殖至適温度28~35℃です。また、おう吐を起こす毒素も熱に強く、126℃90分でも失活しません。
(出典:東京都保健医療局「セレウス菌」)
一般に芽胞の状態になった細菌は、熱や薬剤に強くなり、加熱やアルコール消毒などによる殺菌がしづらくなる。セレウス菌は、先の引用のとおり、「90℃60分の加熱」にも抵抗性があるとされているので、電子レンジ程度の再加熱くらいでは殺菌を期待できないことを意味する。
また、予防のポイントとしては、以下の2点が紹介されている。
1.一度に大量の米飯やめん類を調理し、作り置きしないこと。
2.穀類等が原料の食品は、調理後保温庫で保温するか、小分けして速やかに低温保存(8℃以下)すること。
(出典:東京都保健医療局「セレウス菌」)
世界規模での地球温暖化で暖冬がつづき、冬でも地域や天候によっては室温が8℃を下回らないことは少なくない。また、暖房をつける場合は室温として18〜22℃程度になることが一般的だ。
食中毒を予防するうえで、「冬だから」と油断しないよう心がけたいものだ。
文/井上晃