「言うことを聞かない」高市官邸と財務省エースの亀裂
「こんなことをやっても、政権の評判を下げるだけ。本当に素人政権運営としか言いようがない……」
霞が関関係者が筆者の取材にそう嘆いたのは、財務省が8月7日に発表した人事についてだ。
「将来は財務省トップの財務次官になると目されていた一松旬氏が、予算編成を行う主計局の次長から、財務省本省を離れ、東京税関長に転出する異例の“降格人事”が発表されたのです」(全国紙政治部記者)
一松氏は開成高校卒業後、東大法学部を経て、1995年に大蔵省(現・財務省)に入省。岸田文雄内閣では、総理秘書官も務めたエース格だ。所得税などの減額と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」や、「食料品の消費税率ゼロ」を与野党で議論する「社会保障国民会議」の事務方も務めていた。異例の人事の背景に一体、何があったのだろうか。
「朝日新聞のスクープで発覚しましたが、高市官邸の強い意向がありました。同紙の取材に、官邸幹部は『政権にあまり協力的でなかったから』などと、事実上の左遷であることをあからさまに認めました。
一松氏は制度設計が本格化している給付付き税額控除の実務を取り仕切ってきたが、財政再建論者として知られ、『責任ある積極財政』を掲げる高市政権とは摩擦があったとみられます」(同前)
テレビ朝日も、総理周辺が一松氏について、「言うことを聞かない」と批判している旨を報じた。前出の霞が関関係者はこう打ち明ける。
「高市総理は、自身と思想性の近しい閣僚を通じて官僚の情報を集めるなど、人事に異常な執念を持っているのです」
2014年の内閣人事局発足以降、内閣官房が人事を司るようになり、政権による“恐怖人事”はたびたび取り沙汰されてきた。しかし、対財務省においてここまで露骨なものはなかったという。













