ファンを第一に考える稀有なラーメン店「山岡家」

魁力屋に近い経営をしている会社が丸千代山岡家だ。店舗数は150で、繁華街ではなくロードサイドが主体だ。ただし、店舗の作り方は大きく異なる。魁力屋のロードサイド店は敷地面積を150坪以上と定めているが、山岡家はその倍の300坪以上が基本だ。

2社の出店スタイルの違いはターゲットとなる層の違いにある。

山岡家は豚骨の濃厚なスープと、太ストレート麺が特徴。クセが強く、男性客を惹きつける魅力を持っている。「無性に食べたくなる」と言われる通り、リピーターや固定ファンが多いことが特徴だ。

写真はイメージです 写真/Shutterstock
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店舗の敷地面積が広い理由は、トラックドライバーや建設作業員、タクシードライバーなど、日ごろから車を使って仕事をする人を立ち寄りやすくするため。山岡家のメインターゲットはガテン系と呼ばれる肉体労働者が主となっている。

山岡家は堅調に売上高を積み増しており、2024年1月期の業績が予想通りに着地すると、10期連続の増収を達成することになる。2023年2-10月の売上高が前年同期間比42.5%増となっていることから鑑みても、ほぼ確実に達成するだろう。

既存店売上高は19か月連続で対前年を上回り、2023年10月は過去最高の単月売上を記録している。飲食店は新規出店による集客効果が高く、オープンから一定の期間が経過した既存店は集客力を落とすのが一般的だ。

山岡家の既存店の調子がいいのは、ファンやリピーターから愛されている証拠だろう。上場企業にも関わらず、個人店が経営するかのような姿勢を崩さない、珍しい会社だ。