「選挙」でダイエット効果あり?

前田 そうでした。そういえば私の兄が、畠山さんを取材しているというのを知って、最初はYahoo!の10分の映像(映画の出発点となった)を見て興味をもち、畠山さんのTwitterをフォローするようにもなったんです。その兄が「畠山さんはお金に困っているといっているわりに、ゴチソウを食べているよねえ」と素朴な疑問を口にしていたんです。

畠山 ああ、あれは……、やむなく美味しいものを食べているんです。そうそう。どうやったら、みなさんに活動を見てもらえるか。熟慮を重ねて、おいしい食事をSNSに載せるために、ステーキを頼んでいるんです。ですから、僕はもう仕方なく美味しいものを食べているわけです。見せるために。もう、仕方なく。

前田 (疑わしく目を細める)

畠山 いや、本当に。アハハハハ。だって、漫遊ですから。ただ、まだ動物はそんなに出せていないので、これからはそちらにもトライしてみたいですね。

──動物だと、いまはクマがヒットしているようですが。

前田 クマ、ですか。

畠山 それは恐ろしいということで?

「被災地の現状よりも、そこで食べた550円のオムライスの写真のほうがバズるSNSの現状にモヤッとして…」選挙に憑りつかれたライター・畠山理仁が提唱する“選挙漫遊”の極意_3
クマのイメージ(Shutterstockより)
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──最近人を襲ったというニュースが多いでしょう。畠山さん、取材してみませんか?

畠山 考えてみると、選挙取材は猟師のような側面もありますね。僕は車の窓を全開にして、耳をそばだてて選挙カーの音がするほうに近づいていく。山の中でクマの痕跡を見つけて、クマに迫っていくのに似ているかもしれない。

そういえば以前、「ツチノコを探して一攫千金を目指すのはどう?」とある知り合いから言われたことがあります。取材費をどうやって捻出しようという話をしたら、「岩手県の遠野で河童を捕獲して連れていけば1000万円もらえる」と教えていただいたこともありました。

前田 アドバイスされた人は本気で?

畠山 どうでしょうねえ(笑)。あるいは、「各地に友達をつくって選挙ごとに泊めてもらったら宿泊費はかからないだろう」とか。そうですか、クマねえ……。でも、出会うとよくないですよねえ。

──クマにも選挙を説いたというので人気もさらにアップするかもしれませんよ。

畠山 「選挙区をクマなく歩け」くらいしか言えない。でも、クマかぁ。選択肢のひとつかもしれませんねぇ(とメモする)。食べ物はどうですか?

──いちばんはラーメンですね、やはり。

畠山 ラーメンは選挙取材に向いているんですよね。サッと頼んで、サッっと出てきて、サッと食べられますから。ただ、行列するような店には無理。空いているところでないと。

前田 そういえば、取材中ゴハン抜きというのが何度かありましたよね。

畠山 お昼も、夕ご飯も、選挙取材スケジュールの中には入ってないですから。いつも朝早くに何か食べて出て、8時始まり、終了の20時までは食べないことが多いです。

前田 だから畠山さん、カメラ越しにも目に見えて痩せていくんですよね。

畠山 そう。痩せます。「選挙ダイエット」(笑)。参院選のときには10キロ痩せました。

──そういう本を書くのは?『さあ、センキョで痩せよう』とか。

畠山 選挙ダイエット本ですか(笑)。でも、痩せるのは本当なので、痩せたい人は試してみるのはありですよ。

構成/朝山実

『NO選挙,NO LIFE』(前田亜紀監督)は、東京・ポレポレ東中野、横浜・シネマ・ジャック&ベティほか全国ロードショーで絶賛公開中!

「被災地の現状よりも、そこで食べた550円のオムライスの写真のほうがバズるSNSの現状にモヤッとして…」選挙に憑りつかれたライター・畠山理仁が提唱する“選挙漫遊”の極意_4

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コロナ時代の選挙漫遊記
畠山 理仁
「被災地の現状よりも、そこで食べた550円のオムライスの写真のほうがバズるSNSの現状にモヤッとして…」選挙に憑りつかれたライター・畠山理仁が提唱する“選挙漫遊”の極意_5
2021年10月5日発売
1,760円(税込)
四六判/304ページ
ISBN:978-4-08-788067-0
選挙取材歴20年以上! 『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で第15回開高健ノンフィクション賞を受賞した著者による”楽しくてタメになる”選挙エッセイ。

2020年3月の熊本県知事選挙から2021年8月の横浜市長選挙まで、新型コロナウイルス禍に行われた全国15の選挙を、著者ならではの信念と視点をもって丹念に取材した現地ルポ。「NHKが出口調査をしない」「エア・ハイタッチ」「幻の選挙カー」など、コロナ禍だから生まれた選挙ワードから、「選挙モンスター河村たかし」「スーパークレイジー君」「ふたりの田中けん」など、多彩すぎる候補者たちも多数登場! 

<掲載される選挙一覧>
熊本県知事選挙/衆議院静岡4区補欠選挙/東京都知事選挙/鹿児島県知事選挙/富山県知事選挙/大阪市住民投票/古河市長選挙/戸田市議会議員選挙/千葉県知事選挙/名古屋市長選挙/参議院広島県選出議員再選挙/静岡県知事選挙/東京都議会議員選挙/兵庫県知事選挙/横浜市長選挙
amazon 楽天ブックス honto セブンネット 紀伊国屋書店 ヨドバシ・ドット・コム Honya Club HMV&BOOKS e-hon
黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い
畠山 理仁
「被災地の現状よりも、そこで食べた550円のオムライスの写真のほうがバズるSNSの現状にモヤッとして…」選挙に憑りつかれたライター・畠山理仁が提唱する“選挙漫遊”の極意_6
2019年11月20日発売
924円(税込)
文庫判/376ページ
ISBN:978-4-08-744049-2
落選また落選! 供託金没収! それでもくじけずに再挑戦!
選挙の魔力に取り憑かれた泡沫候補(=無頼系独立候補)たちの「独自の戦い」を追い続けた20年間の記録。
候補者全員にドラマがある。各々が熱い思いで工夫をこらし、独自の選挙を戦っている。何度選挙に敗れても、また新たな戦いに挑む底抜けに明るい候補者たち。そんな彼・彼女らの人生を追いかけた記録である。

2017年 第15回 開高健ノンフィクション賞受賞作

【目次】
第一章/今、日本で最も有名な「無頼系独立候補」、スマイル党総裁・マック赤坂への10年に及ぶ密着取材報告。
第二章/公職選挙法の問題、大手メディアの姿勢など、〝平等"な選挙が行なわれない理由と、それに対して著者が実践したアイデアとは。
第三章/2016年東京都知事選挙における「主要3候補以外の18候補」の戦いをレポート。

【選考委員、大絶賛! 】
キワモノ扱いされる「無頼系独立候補」たちの、何と個性的で、ひたむきで、そして人間的なことか。――姜尚中氏(政治学者)
民主主義とメディアについて、今までとは別の観点で考えさせられる。何より、作品として実に面白い。――田中優子氏(法政大学総長)
ただただ、人であることの愛おしさと愚かさを描いた人間讃歌である。――藤沢 周氏(作家・法政大学教授)
著者の差し出した時代を映す「鏡」に、思わず身が引き締まる。――茂木健一郎氏(脳科学者)
日本の選挙報道が、まったくフェアではないことは同感。変えるべきとの意見も賛成。――森 達也氏(映画監督・作家)
(選評より・五十音順)
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