城咲仁とROLANDの発言に思うこと

――その点は昔から変わっていない、と。

20年前と今の違いがあるとすれば、店舗の数。僕らの時代は歌舞伎町にホストクラブはせいぜい50~100店鋪だった。それが今では300軒以上とも言われている。それだけ分母が増えてるのだから、当時からいたであろう余裕のないホストも比例して増えているというだけです。

ただ、ホスト自身が酒や雰囲気に酔う女の子に歯止めをかける抑制力も以前よりも失われたかもしれない。ホストクラブの空間は時間も金銭感覚も麻痺させる。

だから酒や雰囲気に酔って歯止めがきかなくなる女の子が一定数いるんだけど、そこにストップをかけられないホストが増えたというか。要はホスト、お客様どちら側がマウンティグしているかは、実はその人たちそれぞれで違うかとは思います。

いまやホストクラブが300軒以上ひしめくと言われる歌舞伎町(撮影/集英社オンライン)
いまやホストクラブが300軒以上ひしめくと言われる歌舞伎町(撮影/集英社オンライン)

――城咲さんは11月26日放送の『ワイドナショー』に出演した際も、現在のホストのように客に「今日いくら使える?」と聞くことは昔はタブーで、売掛を勧めるようなことはしなかったと発言されていました。

仁氏とは引退後もいろんな場面で会うし、仲よく飲んだりする関係性です。ただ、彼は歴史がある店出身で、僕は入店時、まだ発展途上の店に入ってので、ホストとしてお互い出自が違う。だから僕は自らお客様に使わせるお金を采配し、予算を聞くケースもありました。ホストは是が非でも自分のナンバーを守りたいと思っているし、お店の売り上げ自体にこだわる訳ですから。

――頼朝さんはそれで売掛を飛ばれたことはありましたか?

ありましたよ、100万単位で。でも掛けを飛ばれたりするのは、当然ながら女の子が飛んでしまうような非がホストにあった、というだけですし、博打みたいな部分もあったってことです。

ホスト常連客から編集部に提供されたホストクラブの高額会計伝票
ホスト常連客から編集部に提供されたホストクラブの高額会計伝票

――タレントで実業家のROLANDさんは、自身が運営するホストクラブで売掛を一切禁止したことが話題になりました。

今現在、売り掛け分のお支払いを自腹切って待ってるホストさんからしたら厳しいのではないのかと思います。その現状に応じたフレキシブルな対処がないと、今の風潮的な後押しも影響し、個々の未入金も飛ばれてしまいやすいでしょう。

それに、いざ会計時にお客様が「お金がない」と言い出したり、「カードが切れない」というケースも増えるのではないでしょうか。

ホストクラブに来るお客さんが全員、財布に現金を入れて飲みに来るとは限らないし、飲食される前にチェックもしづらいですよ。入店前に財布の中身をチェックでもするのか。それこそ、失礼ですよね。「売掛一切禁止」は健全に聞こえはするものの、少し無理があるとは感じますが、理想が実現してお店が成り立つなら、ひとつの業界的な革新にはなるでしょう。