行き当たりばったりの自由気ままな車中泊旅を始めた理由

2022年初頭。当時52歳だった僕は、旅を始めることにした。
ずっと暮らしてきたのに、実は何も知らないのかもしれない祖国日本を再発見するため、行き当たりばったりで、地べたを這うように自由で気ままな旅を。

はじめに、旅のルールを2つ定めた。
1 宿には泊まらない。
2 公共交通機関を使わない。

目的地がホテルや旅館になったり、公共交通機関の時刻表によって旅程や行き先が左右されたりするのが嫌だった。
まったく自由に移動し、たまたま行き着いた先で、「今日はここまで」と眠りにつくのが理想だった。

そんな旅のための手段は、“車中泊”しかないと考えた。
そしてツテを使って激安中古の軽バン(スズキ・エブリイ)を購入。家族や友人たちの助けを借りながら自力でカスタムし、世界に一台のオリジナルな車中泊専用車を作りあげた。

一家総出でカスタムした僕の車中泊専用カー
一家総出でカスタムした僕の車中泊専用カー
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その車を使い、すでにいろいろなところを旅している。
2022年8月には、東北一周8泊9日の“犬連れみちのく旅”。
同年10月には、5泊6日で長野〜岐阜を巡る“中部地方山地の旅”。
2023年1月には、10泊11日で関西〜四国を巡る“真冬のGO WEST旅”。
すべて当初の宣言どおり、宿にはいっさい泊まらず、公共交通機関も使わず、車中泊のみで貫いた。

とても居心地のいい車中泊カーの室内
とても居心地のいい車中泊カーの室内

車中泊旅にもすっかり慣れたと思っていたのだが、今年はにわかに公私とも忙しくなり、なかなか旅のための長い日程が取れなくなってしまった。
しかし11月半ば、いろいろなことを強引に片付け、5泊6日の日程を捻出。
晩秋の北陸地方を目指す、久しぶりの車中泊旅をすることにした。

毎回、車中泊旅に出るときは、何か一つテーマを掲げることにしている。
最初は「犬連れ」、二回目は「山奥から山奥へ」、三回目は「GO WEST」。
そして今回の北陸行きでは、こんなテーマを掲げることにした。

宝探し。

いい感じに仕上がった54歳のおっさんにしては、ちょっと青臭すぎるキラキラテーマかなとは思ったが、まあいいではないか。

マイ車中泊カー、スズキのエブリイ号
マイ車中泊カー、スズキのエブリイ号

僕は東京で生まれ育ち、働き、家族を作ってきた。
現在は東京と山梨で二拠点生活を送っているが、いずれにしても本拠地は太平洋側。
ほとんど未知のゾーンともいえる日本海側の北陸地方には、きっと何かがある。そんな予感がしたのだ。

そして11月某日の午前8時、総走行距離15万kmを超えるオンボロ・エブリイ号のアクセルを踏み込み、僕は東京の家をあとにした。