100円CDマニア自慢のコレクションはくせ者ぞろい!
「基本的にジャケ買い。月に50~100枚は買っている」と語る生粋の100円CDマニアであるデラさん。
幼少期から兄の影響でヒップホップやR&B、ハウスといったジャンルの虜に。現在は都内でダンスミュージックやイージーリスニング系のジャンルをメインに収集しており、特に1990年代に発売されたCDが好みだという。
「CD産業全盛期の1990年代って小室ファミリーやビーイング系が台頭している一方、実験的な志向やイロモノなコンセプトのCDも多かった。大手資本や宣伝に恵まれず、時代の隅に追いやられたCDも山のようにあり闇鍋状態(笑)。
そしてサブスクの影響もあってか、有名アーティストの名盤も安く買うことができるときがありますね」
デラさんが集めたコレクションには、隠れた名盤やサブスクにはない傑作が満載。中身も攻めたサウンドになっている。
「たとえば1993年に松田聖子が出したアルバム『DIAMOND EXPRESSION』は、ヒット曲『大切なあなた』が入っているものの、歌謡曲っぽさは薄れ、ハウスやエレクトロミュージックの面を強めた作風になっていて興味深い。
また1996年に行われた『第51回国民体育大会』の開・閉会式の音楽は、ジブリ音楽でおなじみの久石譲が手がけているのですが、なんと曲調がテクノの曲も! 鋭利なサウンドは、今聴いても色あせませんよ」
そのほかのコレクションもデラさんは紹介してくれたが、そのラインナップがまた実に個性的だ。
たとえば、「イメージ・アップ演出のための効果音楽集」、「集中力アップ」、「プラス思考」といったCD群は、調子を整えたり、気分を盛り上げたりするために聴くジャンルだそうだが、ジャケットからはサウンドの方向性がまったく読めない。
「ネコが聴くためのCD」ならまだ優しい音色が響き渡るといったイメージが湧くが、「田中さんのためのBGM」となると見当もつかない……。
そんなぱっと見で判断できないCDが多いからこそ、100円CD収集はやめられないという。
「一見、わけのわからないようなコンセプトでも、聴き応えのある本格的なサウンドを鳴らすCDは結構多いんです。個人的にはジャケ写が“かっこよすぎない”と一層よさげ。奇抜なパッケージのほうが、購入意欲が増して、どんな音か確かめたくなるんですよ。自分はクラブでDJ活動もしているので、現場でどんなミックスとしてプレイするか、楽しみでもあります」