売り上げはこの10年で爆発的な伸び
音楽ファンなら、現代における音楽の聴き方が、デジタル配信やサブスクリプション中心に進んでいるのはとうにご存じだろう。さらに近年は、意外にもアナログレコードの人気が再燃し、各メディアでも頻繁に取り上げられている。
米国では2020年に、アナログ盤の売上が34年ぶりにCDを越えた。英米よりも配信サービスの普及が遅れたためにCD文化が根強く残り、時に“ガラパゴス”と揶揄される日本でも、レコードに関しては同様の傾向が見られる。
アナログレコードの売上が底をついた2010年の1億7000万円を基準にすると、2021年はそこから約23倍の39億円と、約10年で爆発的な伸びを見せているのだ。
こうしてアナログレコードに人気が集まるのには、どんな理由があるのだろうか?
もちろん音楽的・文化的・社会的、そして業界的な様々な事情や風潮が、微妙に絡み合った結果であるが、それらを整理分析していくと、大きな流れがいくつか見えてくる。