中年男性高学歴難民の
前科者より厳しい就職事情
高学歴難民が社会的に孤立する要因として、連帯することの難しさがあると思われます。とりわけ、男性難民は学歴のプライドに加え、男としてのプライドの高さが連帯を妨げ、孤立を招いていると感じます。プライドが高いというのは、裏を返せば自己肯定感が低いのです。
現状を周囲に知られたくないゆえに、遠方にまで移住する人も少なくなかったのです。元々、集団生活に馴染まない人も多く、他のマイノリティのように、連帯を呼び掛けたり、高学歴難民としてアクションを起こしたりする人はなかなか出てこないのかもしれません。
法曹難民の相澤真里さんや井上俊さんのように、結婚がエスケープルートになるケースも多々あります。専業主婦を選択した相澤さんのような女性は珍しくない一方で、法曹資格を取得した妻の下で働く井上さんのような男性への評価は厳しく、井上さんの60代の両親は、世間体が悪いと未だに転職を進めてくるそうです……。
秋篠宮ご夫妻の長女・眞子さんの夫・小室圭さんも米国の司法試験に合格するまで「ロイヤルニート」などと揶揄され、激しいバッシングに晒されていました。
それでも井上さんは、他人に陰で何を言われようが、安定した給料を得、パートナーと共にいる人生の方が、高学歴難民より何倍も幸せだと主張しています。
年齢が上がれば上がるほど、女性に仕事を世話されたくはないと拒絶反応を示す男性難民は多いです。しかし、若い頃より、就職の選択肢が減るのは、年齢が上がってからです。友人にも恋人にも頼ることができず、親も高齢化している中年男性高学歴難民が最も孤立しやすく、エスケープルートが見つけにくいと言えます。
私は、刑務所出所者の就労支援も行っていますが、より就労のハードルが高いのは、圧倒的に、中年男性高学歴難民です。会社が嫌がる理由は、肉体労働が続かない、事務処理能力が低い、コミュニケーションができず独断で進めてしまう、相手にミスがあれば過剰に責めるなど、こうした特徴は、加害者となった高学歴難民の事例からも読み取ることができるでしょう。
昼夜逆転の生活に慣れた高学歴難問に関して、規則正しい生活を送ってきた出所者より集中力に欠けると指摘されたことがあります。就労意欲も高いとは言えず、最も就職が難しい人々かもしれません……。