節約一点張りで、増税ばかり考えているのが財務省
石橋 新聞社の経済部も財政を理解できていません。毎年暮れの当初予算の原案が発表になったとき、必ずと言ってよいほど、「岸田家の家計簿」のような記事を掲載します。
お父さんの年収がいくらで、住宅ローンがいくら、教育費がいくら……家計は火の車でいずれ破産しますと読者を誘導する記事です。
そもそも、国家財政を家計に譬えること自体がナンセンスです。お父さんが老化しないでずっと元気が働く家庭などありません。国債を住宅ローンと同じ扱いにすること自体もナンセンスです。
産経に在籍していたとき、経済部に「なんで毎年こんなバカな記事を出すんだ?」と問いただしたことがあります。それでわかったのですが、財務省が記者クラブに一般会計を家計に譬えたレジュメ(概要)を配っていたのです。経済部記者は何の疑問も抱かずにそれを紙面化していたわけです。
逆に言えば、財務官僚も国家財政を家計と同じように考えているということじゃないですか。
住宅ローンのような元利均等払いで借金する企業などありません。返済期限まで金利だけを払い続け、期限が来たら借り換えます。
国債の元本を返済する国債償還費はまさに住宅ローンの発想ですよ。
田村 家計だと、働き手であるお父さんの収入には限界があります。ベースアップとか昇給がないと増えません。それも、わずかです。
だから、ケチケチと支出を減らすことに頭を使うしかない。それと同じことをやっているのが財務省です。
しかし国家財政は、経済が成長したりすると大幅に税収が増えます。
2022年度の一般会計税収は、新型コロナウイルス禍前の2019年度に比べ、22パーセント増の71兆7200億円と過去最高でした。それでも財務省は、節約一点張りです。
経済成長には投資が必要になります。
家計と同じ考えで節約ばかりして投資を考えなければ、経済成長はありません。先行きの税収も増えるわけがない。
それを補おうと消費税率を上げるなど、増税ばかり考えているのが財務省です。