脳科学から見たスマホ習慣の変え方
子どもだけでなく、大人にとっても、スマホのやり過ぎは悩ましい問題です。
仕事や連絡などで使う場合はいいとしても、決してスマホが必要ではない時に、ついついダラダラとウェブサイトを見たり、ゲームで遊んだりしてしまう。それこそ仕事や勉強に支障が出るなんてこともあるかもしれません。
1日のスマホの使用時間は、仕事やプライベートも含めて、およそ4時間半が平均と言われています。
それを大幅に超えていて、スマホゲームのやり過ぎで寝不足になっている、SNSをやり過ぎて宿題や仕事の準備ができないことがしばしば、などという場合は、どうやってスマホ習慣を変えていくのが効果的なのでしょう。
習慣を変えたい。そんな時に大きな分かれ道となるのが、ガラッと一気に変えていくのか、少しずつ変えていくのかという問題です。
「えいやっ」と決意して、これまでの習慣を一気にガラッと変える。そうしないと、なかなか踏ん切りがつかずに、新しい習慣のリズムを作れないのではないか?
いやいや、今していないことを急にするのは難しい。難しいから今までやれなかったわけだから、やはり少しずつ慣らしていかないと変えられないのでは?
「ガラッと派」と「ちょっとずつ派」。はたしてどちらがより効果的なのでしょうか?
その答えは、脳の仕組みから考えるのであれば、断然「ちょっとずつ派」です。
これを理解するために、まず、「習慣とは何か」に立ち戻って考えてみましょう。
習慣とは、ある一定の状況に置かれると自然としてしまう行動のこと。強い意志で行動しようとしなくても、何気なくやってしまう行為のことです。
例えば、朝起きたら、迷うことなく洗面所に行き、歯を磨き始める。何かを習慣化するということは、そうした自然な行動パターンを脳に焼きつけるということです。
では、どのようにして、それらのパターンは脳に焼きつけられるのか?
私たちが何かを体験したり、学んだりするたびに、脳のニューロンには電気パルスが流れ、それと同時に脳内に変化が起こります。繰り返し何度も同じような体験をすると、同じようなニューロンの回路が何度も何度も活性化されて、強固で通りの良いニューロン回路ができあがります。
そうした強いニューロン回路ができることで、また同じような体験が起きた時に、あれこれと考えることなく、これまでと同じような行動を取れるようになるのです。
つまり、何かを習慣化するには、何度も何度も似たような体験をする必要がある。朝起きて、何も考えずに洗面所に行き、歯を磨くことを習慣化するには、繰り返しのトレーニングが必要なのです。
脳は少しずつしか変わっていきません。ですから、何かを習慣にするには「ちょっとずつ派」の精神で根気強く臨んでいかなくてはいけません。
「自分のスマホ時間をうまく減らしたい! 1日7時間を4時間にしたい!」
たとえ強い意志でそう望んだとしても、なかなか今日明日で劇的に変われるものではない。いわば脳のメカニズムに適っていないのです。
それゆえもしも、スマホ、ゲーム、SNSなどの時間を減らしたいのであれば、少しずつ減らしていくように計画して、長期戦で挑むのが一番。まさに「急がば回れ」の精神が必要なのです。
それでは、その長期戦にどのように挑めばいいのでしょうか?
その答えを理解するために、私たちがスマホにハマる理由を知っておく必要があります。