出稼ぎ少女たちの間で流行する“アルフォート貯金”

おそらくこのホストにとって、武田さんの長女は羽振りのいい客のひとりだったのだろう。しかし、長女は相手ホストを彼氏だと言い張り、「いずれ結婚したいと思ってる」と言って、武田さんの忠告に耳を貸さない。さらに武田さんは驚愕の事実を知る。

「ある時、長女の手帳を盗み見ると、昼間は学校に行かずに吉原のソープランドに出勤していることがわかったんです。正直、とっさに長女のことを『気持ち悪い』と感じてしまいました」

長女は「彼に頼まれたボトルを入れて数百万円の売掛があるため風俗で働いている」と話す。なぜそんな高額なボトルを頼んだかといえば、「彼の夢を支えるため」だという。
どうやら転学もホストクラブに通いやすくするための口実だったようだ。そしてその転学した大学もほどなく退学してしまう。

長女が夢中になっていたホストとのツーショット
長女が夢中になっていたホストとのツーショット

やがて長女は家出をし、定宿を持たずに地方の風俗店を働き歩いたり、それ以外は吉原のソープで働いたりと放浪生活を送り、お金が貯まったら“彼氏”に会いにホストクラブへと行くという生活を送ることとなる。

ちなみに、地方に出稼ぎする少女たちの間では“アルフォート貯金”というものが流行っている。お菓子の「アルフォート」のパックはちょうど1万円札が100枚入るサイズ。少女たちはこのパックにお札を入れて貯金をし、何パックか貯まるとそれを持ってホストクラブで散財するような生活を送っているという。

武田さんの長女がアルフォート貯金をしていたかはわからないが、彼女が完全に“ホス狂”と化してしまったことは紛れもない事実だろう。武田さんとともにこの問題に向き合うはずの父親は、長女が高校生のときに先立っている。

「以来、私は女手ひとつで長女と3歳下の次女を育ててきました。しかし、父親っ子だった長女は、その死とともに私との関係がギクシャクしており、私が注意しても聞く耳を持たない。次女は長女の風俗勤めが発覚したときは大学受験の真っ最中だったので、受験に支障が出ないようにと、すぐに近所のワンルームに引っ越しさせました」