生徒会を見て「すげぇな!」と感嘆
――学級崩壊のようなことは起こらなかった?
赴任当初は授業を聞いてもらえなかったり、ヤジが飛んできたことはあって、職員室に戻ってひとりで泣いたこともありましたよ。でも、それは赴任1年目で自分の力不足なところがありますからね。
ただ、3年生はすごく大人でした。授業は受け持ってなかったんですけど、向こうから気にかけてきて「どんな感じ?」って声をかけてくれるんですよ。
生徒会も先生が決めたことを生徒におろすだけのただの“行事屋”じゃなくて、「何のためにどんな行事をしたいのか、するのか」「その目的を達成するためにはどんなことに気をつけて、取り組むのか」みたいなことを自分らで話し合って決めて、下級生をどう楽しませるかっていう視点を持っていた。それを見て「すげぇな!」と思いました。
――ドラマのイメージとはだいぶ違いますね。生徒同士のケンカやトラブルもあまりなく?
ケンカは暴力的なものはたまにしかなく。言い争いならしょっちゅうありましたよ。それが今の生徒たちと全然違う。
――といいますと。
たとえば1年生だと、ヤンキーかどうか関係なく、同級生が何を考えているのかってよくわからないじゃないですか。
そういうなかで、昔の子らは自分のことを「わかってよ!」というパワーがすごかったんです。それがヤンキーだと不器用だからケンカしたり大きな声で威圧したりってマウント行為になっちゃうけど、根底にあるのは「俺のこと、わからしたる」って相手に理解を求める行動でもあるんですよね。
――承認欲求みたいなことだと。
そうですね。入学式でも式次第を紙飛行機にして飛ばしたり、大きく舌打ちしたり。それもある意味自分の居場所をつくろうと虚勢を張ってるんですよね。