サブスクリプションという新たな収入源

では、次々に漫画原作からドラマ化となって、その受け口=放送枠があるのかというと、実はそれは確実にある。最近、ドラマの放送枠が確実に増えているからだ。

例えば関西テレビ・フジテレビ系列で4月から始まった、月曜22時枠。現在は橋本環奈主演の『トクメイ!警視庁特別会計係』が放送されている。その他、秋ドラマからスタートした金曜21時枠はムロツヨシ主演の『うちの弁護士は手がかかる』。

深夜ドラマにいたっては各局、百花繚乱状態で、見る側もついていけなくなるほど飽和状態だといえる。

前述のドラマプロデューサーに「なぜこんなにドラマが増えたのか」と聞くと、最近は放送後、サブスクリプションに売るという市場が新しくできたことを理由に挙げていた。

今までは連続ドラマが終わると、円盤化(Blu-ray、DVD化など)をして終わるのが通例だった。それが今では放送後のほうが盛り上がるケースがあるほど、動画配信サービスの役割は大きい。

結果として各局がドラマ制作に躍起になる。量産するためには、小説よりも映像化への道がショートカットできる漫画原作は手っ取り早い。それが昨今の漫画原作ドラマ増加の原因のひとつであると推測できる。

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ジャンルで多いのは、タイムリープ、LGBTQか

では楽しんでいる側の視聴者からすると、漫画原作が増えたことによって、既視感のある設定が散見されているという被害(?)もある。

最近“タイプリープ”ものドラマが妙に多いのである。例えば現在放送中のある意味、時空を超えた向井理主演『パリピ孔明』(フジテレビ系列)、『僕だけがいない街』(Netflix制作、2021年より関西テレビ系列にて地上波放送)など。

さらに漫画原作ばかりでは?と思ったジャンルに、“LGBTQ”をテーマにしたドラマがある。先日、女性ファッション雑誌でおすすめのドラマ作品を取材される機会があり、改めてラインナップを見直すことで気づいた。

現在放送中の『きのう何食べた?season2』(テレビ東京系列)、来年初冬に放送予定の『作りたい女と食べたい女』(NHK総合)。

少し前を振り返っても『僕らの食卓』(TBS系列・2023年)、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系列・2021年)など。

まだ取り扱いがデリケートだと感じているジャンルなだけに、テレビ局側もオリジナル制作には慎重なのだろうか。