ピルは生理が始まっていれば服用が可能
日本でピルがあまり広まらないのは、避妊のためのお薬というイメージが根強く、しかも、避妊法としてピルを選択する人自体も少ないためかもしれません。
そもそもピル(低用量ピル)とはどういうものかというと、女性ホルモンの作用を利用するお薬です。低用量ピルと呼ばれる薬には、1錠の中にエストロゲンとプロゲステロン(正確には黄体ホルモン)の両方が含まれています。
この薬を飲み続けることによって、からだの中にエストロゲンもプロゲステロンもすでに存在していると錯覚するような状態が生まれます。
そうすると、エストロゲンの分泌のピークがつくられなくなり、排卵が抑制されます。排卵しないので妊娠しないし、子宮内膜が厚くならない、という仕組みで効果を発揮します。服用をやめると元の状態に戻ります。
日本では、経口避妊薬として使われる自費のピルと、月経困難症・子宮内膜症に使われる治療目的のピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)を区別して呼んでいますが、基本的な作用は同じです。
ピルを飲み始めていいのは何歳からか、また何歳まで飲み続けていいのかというのは、気になるところだと思います。
まず、40歳をすぎてからピルの服用を開始するのは、おすすめしていません。ピルの副作用の一つである血栓症のリスクは、飲みはじめのタイミングが高いからです。
それ以前から服用している場合は、40歳でやめなければいけないということではなく、原則として、閉経まで、もしくは50歳までは服用を継続することができます。
では、下は何歳から服用できるかというと、生理が始まっていれば服用が可能です。
「まだ10代だからピルは飲めない」ということはなくて、生理痛や生理不順で困っていれば、何歳からでもピルの服用を検討することができます。
また、鎮痛剤と併用することもできます。痛み止めが効かないからピルを飲む、という順番ではなくて、はじめからピルを選択することもできますし、ピルを飲んでいるけどまだ痛みがあるから鎮痛剤を足すということもできるわけです。
このあと、ピルについて、私たちの生活にどのようなメリットをもたらすかをもう少しお話ししたいと思いますが、ピルの服用をおすすめできないケースもありますので、先にお伝えします。
年齢が上がることで血栓症のリスクが高くなるほかに、喫煙の習慣のある方、高血圧の方、肥満の方、前兆を伴う片頭痛のある方、乳がんの方、糖尿病の方には、ピルを処方できないことになっています。
そのほかにも、健康上のリスクがある場合は慎重投与となりますので、ピルの服用を検討する際は、必ず、婦人科の医師とよく相談なさってください。