私たちの体を生かす、血液の2つの「大仕事」とは?
血液は、心臓の左心房をスタート地点として、左心室、大動脈を通って、足先の毛細血管までいき、静脈を通って右心房、右心室へ戻ってきます。
こうして、血液が体をぐるりと回る時間が、約1分間です。
この1分の間に、血液は2つの大仕事をしています。
ひとつは、全身の細胞に栄養と酸素を送り届ける「配達の仕事」。
もうひとつは、いらなくなった老廃物を引き取る「清掃回収の仕事」。
私の考える「血流がよくなる」「血流が悪くなる」状態とは、血液が1分間に行うこれらの大仕事の充実度の良し悪しをあらわしています。
では、なぜ血流がよくなると病気を遠ざけることができるのでしょうか。
それは、血液が2つの仕事を立派に果たせるようになるからです。
血液は、あなたの体にある37兆個の細胞―つひとつに酸素と栄養を送り届け、老廃物を回収する。この配達と回収こそが「血流」です。すると、あなたの細胞は年齢に関係なく若々しく働いてくれます。
つまり、血流は私たちの体の働きを根本から支えているんです。
血流が悪くなると、血液は2つの仕事をうまくこなすことができなくなります。どんなときに血流が悪くなるかはのちほどくわしく説明しますが、一例をあげると、コレステロールが血管にたまってしまったケースなどがあります。
血管という「道路」の状態が悪いと、血液が運べる栄養と酸素の質も落ち、回収できる老廃物の量も減ってしまいます。配達も回収も、うまくいかなくなるんです。
すると―つひとつの細胞に必要な酸素と栄養が足りなくなり、全身のあらゆる部位で不具合が生じはじめます。血流が悪くなることで、各臓器に必要な血液が、必要な分だけ送られなくなってしまうんですね。
こうして、肩こりや背中のだるさ、むくみや手足のしびれなどの日常的な症状、そして高血圧や糖尿病、動脈硬化、心臓病などの慢性病を引き起こします。
さらには、うつ、不眠症、更年期障害などの自律神経やホルモンの失調症。そして、がんなども、細胞への酸素と栄養の供給不足、すなわち血流の悪化が原因のひとつではないかと考えられています。
こうした悪循環を避けるため、意識的に、血液がきちんと仕事のできる状態を整える必要があるんです。