「箱物を作って終わり、ではない」
スノーピークは冒頭で触れた直営キャンプフィールドをはじめ、全国に多くの拠点を展開しているが、陸前高田キャンプフィールドのように、プロポーザルで参画して自治体が持っているキャンプ場を管理・運営しているケースが増えているという。
同社の社長室 広報の村田春雄マネージャーは、指定管理として参画する際に同社が重視していることを、次のように話す。
「スノーピークがもっとも大切にしているのは、ただ拠点を用意するだけでなく、そこにしっかりと人が集まり、地元の方々とのコミュニケーションやユーザー同士のコミュニティが生まれる場所をつくること。それを実現するために、その土地にマッチしたベストな方法を提案させていただいています」
これは陸前高田キャンプフィールドに限った話ではないが、スノーピークは、質の高い「箱物」を用意するだけのビジネスは採用していない。将来的なコミュニティの醸成と発展を第一のプライオリティとし、各地のキャンプフィールドをつくりあげているのだ。村田マネージャーは「拠点を作るのはスタートに過ぎない。そこからいかに人々の交流を生み出せるかが、スノーピークとしての使命」とも語った。
そしてオン/オフ問わず、実際に多様なアウトドアライフを生活に取り入れているスタッフが多く在籍しているのも、スノーピークの強みだろう。村田マネージャーによると、キャンプ場を運営するなかで、理想と現実のギャップに悩んでいる施設も少なくないそうだ。そのような場所に同社が指定管理として参画すれば、彼らの知見やノウハウを整備・運営に大いに還元できる。
震災から12年半が経ち、陸前高田のさらなる地域経済の活性化を目指す岩手県にとって、コミュニティを生み出すプロフェッショナルであるスノーピークは、まさにベストパートナーだったのだ。
#3へつづく
#1 絶景の海とキャンプと愛犬と…新オープン「スノーピーク陸前高田キャンプフィールド」で味わう岩手の大自然と食の魅力
#3「自衛隊のヘリコプターを見て、『これで生きられる』と思った。だから、ここは忘れられない場所なんです」。陸前高田に誕生したスノーピーク新施設が見据える未来
取材・文/毛内達大
写真/集英社オンライン編集部