井浦新さんに一生の宝物になる言葉をもらった
――ササポンを演じる井浦(新)さんのキャスティングは正直、意外でした。
大木(以下同) 私も、びっくりしました(笑)。先日、この映画の取材で井浦さんにお会いしたときに、「大木さんは、実際のササポンを知っていて、答えを持っている方だから、実は現場ではお会いしたくなかったんです。ササポンの格好や芝居を見られるのが、すごく恥ずかしくて『どうも、すみません……』と思いました」とおっしゃっていて。
でも、映画の中で観た〝井浦ササポン〟は本当に素晴らしかったです。
同じタイミングで、井浦さんが、「大木さんは自分の言葉を持っている人ですね。それは、すごい才能だと思いますよ」と言ってくださったんです。井浦さんに、ササポンのような言葉をかけていただいて、これから作家として活動を続けていく上で励みになるし、一生の宝物になりました。
――『つんドル』という物語が論じられたり、評価されることを、大木さんはどう受け取っていたんですか?
傷ついていた心のセラピーになりました。不思議な話ですが、読者の方々に、私という人間はどのような人間なのかと教えていただいた感じです。自分でも気づいていなかった新しい大木亜希子像を作ってもらい、私という人間はこれだけ強いんだと教えてもらった気がします。