JK視点で追体験する「インドの光と影」
――『JK、インドで常識ぶっ壊される』の発売後の反響をどう感じていますか?
本を出したこと自体、まだ現実味がないのですが、読んだ方から嬉しいお言葉をたくさんいただけてありがたいです。企画をしたときは主に同世代に向けた本を書こうと思っていたんですけど、実際は、上の世代の方にも読んでいただけたのが新鮮でした。
インドに住んでいたり、インドの学校に通っていたことがあるという方が、現地での生活を思い出してくださることもあるようで。いわゆる若者言葉も取り入れて書いたので、どこまで届くんだろうという気持ちがありましたが、世代にかかわらず、表現のひとつとして受け入れていただけたのが嬉しかったですね。
――学生による、学生のための出版コンペティション「出版甲子園」でのグランプリ獲得から、出版はどう決まったのでしょうか。
決勝大会で河出書房新社の担当編集・田中大介さんから声をかけていただいて、正式に出版が決まったのが2021年の5月です。その直後にインドから帰国して、年明けに始めた執筆も佳境に入るタイミングでした。
高校生のうちに出しておきたいという気持ちがあったので、年内にどうにか出そうと編集の田中さんと決めたんですが、引っ越しや日本の高校への転入、夏休み前のテスト、それに受験も執筆と重なって、去年の今頃の記憶があまりないです(笑)。
――若い世代が使う言葉は、積極的に盛り込んでいったんですか?
ブログやSNSのような感覚で読んでもらえて、本の世界に入って一緒にインドを体験してもらえる作りにしたかったので、同世代に馴染みのある言葉を使いました。タイトルにも「JK」と入れているし、そこはキャラとしても出していかなきゃという気持ちもあって(笑)。
同時にインドで感じたこともしっかり書きたいと思っていたので、実際に友達との会話やSNSで使う言葉と、私自身の思いを伝える言葉を組み合わせるバランスが難しかったですし、工夫したところでもあります。
焦ったり混乱したりわけわかんなくなったりしたときも、とりまググる。そんなスタンスで、感情が先走る前に客観的かつ冷静な視点からあくまで本質を確かめたい(という体裁でいる)我々ジェネレーショ~~ンZ☆ だが、気づけばネットの波に吞み込まれてしまうことも少なくない。
――伝える上で、ほかに意識したところや工夫したところはありましたか?
私がインドで経験したことや感じたことは、すべて明るいものでも、暗いものであったわけでもなくて。帯にも「インドの光と影」と入れていただきましたが、グレーゾーンも含めてそのどちらも表現しようと思いました。
インドは、訪れてみて好きになる人と嫌いになる人が分かれるとよく言われますが、それってきっとインドだけじゃなくて、日本でもどんな文化でも、ピンとくる部分と「どうなんだろう?」と感じる部分があると思うんです。
だから、ただ他の国で暮らしてビックリしたということではなくて、明るいものも暗いものも両方書くことで、読んだ人が、今いる場所について考える機会になったらいいなと思いました。
どこからともなくごちゃごちゃとしはじめた道路の様子は、まさに混沌ということばを体現していた。大勢の労働者が乗り込んだトラック。ヘルメットもなしに家族四人がまたがったバイク。緑と黄色のおもちゃのような見た目をした三輪の乗り物。ときどき見かける真っ黒の外車。