「ルテイン」はどうなのか?

近年では「ルテイン」という栄養素も「目にいい」として注目を浴びていますが、やはり視力回復にはつながりません。ルテインに期待できるのは、加齢と共に発症リスクが高くなる「黄斑変性」の予防です。

黄斑は眼球内部の網膜の中心部にあり、そのまた中心(中心窩)には、ものを見るために重要な視細胞が集中しています。この視細胞を構成する栄養素がルテインと「ゼアキサンチン」です。

これらの栄養素が40代を超えて徐々に減少すると、やがて、ものがゆがんで見える、視野の中心が暗くなる、視野が欠ける、視力が著しく低下するなどの症状が出る「黄斑変性」という目の病気になります。

したがって「黄斑変性を予防する」という限定的な意味ならば、ルテインは、ある程度、「目にいい」といえます。ルテインよりは知名度が低いようですが、ゼアキサンチンという成分にも同様の効果があるとされています。

とはいっても、ルテイン単独ではなく、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛などを複合的に摂取しているところにルテインをプラスすると、黄斑変性の予防に一定の効果が期待できるというのが世界的な通説です。

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ルテインの1日の推奨摂取量は10ミリグラムです。特に濃い緑色の野菜にはルテインが多く含まれており、ケール45グラム、モロヘイヤ75グラム、小松菜130グラム、ほうれん草220グラムほどで、10ミリグラム相当のルテインを摂取できます。

また、卵のルテイン含有量そのものは少量ですが、卵由来のルテインは体内での吸収率が高いといわれています。

ルテインは水に溶けづらく油に溶けやすい脂溶性の栄養素で、熱変性もあまり起こりません。ですから、先に挙げたような野菜の炒めものや卵とじは、効果的にルテインを摂取できる料理といえます。下ゆでなどでルテインが大量に流出したり破壊されたりする心配もありません。

また、ルテインはたくさん摂取すればするほど効果が増強されるわけではありません。しかも、しばらく摂取し続けて血中のルテイン濃度が上がれば、それ以降は、さほど意識的に摂取する必要はなくなります。

となると、わざわざサプリメントを継続的に購入せずとも、日ごろの食生活をちょっと意識すれば十分にルテインを補充できます。

ただし、ほうれん草には結石を形成するシュウ酸が含まれているため、結石ができやすい人はルテインのサプリメントを飲むという選択肢もありでしょう。