20年の死者数はスウェーデンが圧倒的1位だったが…
死者数についてはどうでしょうか(図32)。
これもスウェーデンが圧倒的に1位です。感染者数よりも差が大きく、ノルウェーの約10.6倍、フィンランドの約8倍、デンマークの約4倍です。
では、この後はどうなったのでしょう。2020〜22 年の各年の100万人あたり感染者数を並べて比較してみましょう(図33)。
このように、21年になると、この4か国の中ではデンマークが1位になりました。さらに、22年には、スウェーデンは最下位となり、デンマークが圧倒的1位になっています。
20〜22年の3年間の100万人あたり累積感染者数の推移を見てみましょう(図34)。
このように、デンマークが急激に感染者数を伸ばし、他3国を大きく引き離しています。デンマークの伸びが凄すぎて霞かすんでしまうのですが、ノルウェーとフィンランドの伸びも凄まじく、結局スウェーデンを追い越しています。
線の推移を見れば分かるとおり、当初ノーガード戦法で臨んだスウェーデンが他3国を大きく引き離していましたが、2022年になって急激に他3国が伸び、累積でスウェーデンを追い越す、という結果となりました。
では、100万人あたりの死者数についてはどうでしょうか。これも、各年ごとに並べて見てみましょう(図35)。
2020年はスウェーデンが圧倒的1位、21年も1位です。21年でも2位のデンマークの2倍近くありますので、その差は非常に大きいです。ところが、22年になると、フィンランドが急激に増えて1位になりました。スウェーデンは下から2番目になりました。
3年間の累積でみるとどうなるのか
では、3年間累積で見てみるとどうなるでしょう(図36)。
累積で見ると、まだスウェーデンが1位であり、かつ、他3国との差も大きいです。
このように、100万人あたり感染者数で見ると、スウェーデンは他3国に追い抜かれましたが、100万人あたり死者数ではまだ1位です。ワクチンも無い時期にノーガード戦法を取ったため、多くの死者を出してしまったことが影響していると言えるでしょう。振り返ってみるとやはり無謀だったのではないかと思います。
このように、スウェーデンと隣国との比較からすると、行動制限に効果はあったと言ってよいでしょうが、これをまたやるのは無理ではないかと思います。本書では詳しく分析していますが、客観的に見て財政的・金融的に無理なのですが、何よりも気持ちの面で無理でしょう。
私がコロナ禍で学んだのは、「人間の我慢には限界がある」ということです。今後感染状況がどれだけ悪化しても、強い行動制限は国民から支持されないでしょう。
文/明石順平 図版作成/小林美和子 写真/shutterstock
#1『世界と比べても「ワクチン接種」しまくった日本人…それでも2022年からコロナが急増しているのはなぜなのか』はこちらから
#2『「コロナワクチン副反応疑い報告」における死亡確率は飛行機事故に遭遇する確率以下…各国において接種による有益性はリスクを上回るとしているが』はこちらから