コロナだけじゃない! 帯状疱疹、破傷風...受けておいたほうがいい、大人のワクチンリスト_1
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ワクチン接種は「免疫の防災訓練」

新型コロナウイルスの蔓延によって、一躍脚光を浴びたものといえば「ワクチン」でしょう。そもそもワクチンとは、感染症およびその重症化を未然に防ぐ、「予防医療」に欠かせないものといえます。

ワクチンによる予防接種は、たとえるならば免疫の防災訓練のようなもの。体の中に病原体が入ってきた時、「この病原体にはこう対処しよう」というシミュレーションを行ってくれる役割をもっています。

しかし、ワクチンの効果は時間とともに薄れてしまうため、随時アップデートが必要なものもあります。そこで今回はコロナ、インフルエンザなど馴染みのあるワクチン以外の、大人が受けておきたい「予防接種」をご紹介しましょう。


① 破傷風ワクチン
まず1つめが「破傷風ワクチン」です。破傷風ワクチンは初回接種が済んでいても、10年に1回のアップデートが必要です(※1)。1回済ませてしまえばしばらくは安心して過ごせます。

破傷風を起こす細菌は自然界の土壌中に住んでいて、普段はあまり問題になることのない感染症ですが、例えば転んでけがをしてしまったなどの際には問題になることがあります。出血を伴うけがで病院に救急搬送されてきた患者さんには、その場で破傷風ワクチンを打つことも。

破傷風に感染すると体の筋肉が硬直するような病気を起こし、多くの方に後遺症を残してしまうため、医師としては「血を見たら打て」と言われるほど重要度の高いワクチンなのです。

特に農作業など破傷風リスクの高い仕事をされている中高年の方で、この10年以内に接種を受けていない場合には、ワクチン接種が望ましいですね。

② 帯状疱疹ワクチン
次に「帯状疱疹ワクチン」です。帯状疱疹ワクチンは50歳以降の接種が推奨されていて、2ヵ月間隔で2回の接種が必要となります。帯状疱疹ワクチンの効果は非常に高く、臨床試験では帯状疱疹予防に対して90%を超える有効性が報告されています(※2)。

帯状疱疹は命を奪う病気ではないため、軽視される傾向がありますが、一度罹ってしまうと長期にわたって痛みが持続することがあるため、QOL(生活の質)を大きく落としてしまうことも少なくありません。

病気の重さと本人の自覚症状の重さ、そのバランスが釣り合わない病気でもありますから決して甘く見ず、50歳以上の方はぜひ接種を検討していただけたらと思います。

<参考文献>
※1
Liang JL, Tiwari T, Moro P, et al. Prevention of Pertussis, Tetanus, and Diphtheria with Vaccines in the United States: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP). MMWR Recomm reports 2018; 67: 1-44.

※2
Lal H, Cunningham AL, Godeaux O, et al. E cacy of an adjuvanted herpes zoster subunit vaccine in older adults. N Engl J Med 2015; 372: 2087-96.