変わり果てた姿となった千奈ちゃんとの対面

千奈ちゃんが搬送された病院に向かった河本さんは、そこで妻と合流し、変わり果てた千奈ちゃんと対面することになる。

「救急車などに乗せる際に使うようなキャリーベッドって言うんですかね。そこに千奈は裸で寝かされていて、いたるところに管とかが繋がれていました。
前髪は汗で額にべったりくっついている状態で、朝に妻が結ったという三つ編みも濡れていました。目も焦点が定まってないように半分開いていて、口の周りには血の泡が固まったような状態でした。

僕も妻も取り乱して『千奈ちゃん、千奈ちゃん』と声をかけ続けていました。医師の方などが5人くらいで心臓マッサージをしてくれていて、心電図が動いていたんです。僕は心電図が動いているなら千奈は生きているのかと思い、医師に尋ねると『心臓マッサージをしているので心電図は動いてますが、やめれば止まります』と言われました。
『これ以上、心臓マッサージを続けると内臓が傷つき、悪いほうにしかいかないからやめてもいいですか?』と医師から言われたのですが、僕たちは何も答えられませんでした」

インタビューに応じる千奈ちゃんの父、河本さん
インタビューに応じる千奈ちゃんの父、河本さん

心臓マッサージを中断後、河本さんは千奈ちゃんを抱っこさせてほしいと医師に告げ、抱きかかえようとしたが、ひとりで持ち上げられなかったという。その様子を見た妻が寄り添い、ふたりで千奈ちゃんを抱きかかえた。
今思えば河本さんは力が抜けてしまっていたのだという。

「その後別室で、浜松の大学病院で事件性がないか千奈が司法解剖されるという話を警察の方から聞きました。1日くらい千奈ちゃんと会えなくなるので、そばにいて話しかけたりしてあげてくださいと医師に言われました。
妻は『千奈ちゃん、ちょっと動いた気がする』と言いながら過呼吸になりながら『起きて起きて』とパニック状態でした。僕は千奈の名前を呼び続けて『守ってやれなくてごめん』と謝ることしかできませんした