「いずれ結婚するつもり」、でも……

山田教授が言う「結婚した夫婦が、平均2人程度の子を産んでいる」状況は、夫婦が最終的に産む子の人数を示す「完結出生児数」(結婚持続期間15〜19年)を見れば分かります(図表2)(’21年国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」)。

’82年段階で、この数は「2.23人」で、その後も’02年まで「2.2人前後」をキープするなど、比較的安定して推移していました。’10年に初めて「1.9人台」へと落ち込みましたが、それでも’21年段階で「1.90人」ですから、大幅に減少したとまでは言えません。

「子どもは贅沢品」「結婚は嗜好品」なのか。岸田政権「異次元の少子化対策」はなぜ愚策なのか。”恋愛結婚にむかない日本人”_3
図表2 夫婦の完結出生児数(結婚持続期間15〜19年)。『恋愛結婚の終焉』(光文社新書)より

一方で、「結婚を望む人が約8割いる」状況については、「はじめに」でもふれた通りです。先ほどと同じ調査を見ると、’21年時点で18〜34歳の男女の8割以上が「いずれ結婚するつもり」と回答しており、こちらも山田教授の言葉通りです。

ところが、実際に結婚する人の割合(婚姻割合)がどれほど減少したかは、改めて言うまでもないかもしれません。最も顕著なのは、「生涯未婚率」の上昇でしょう。

’90年時点でわずか4.3%と、ほぼ「皆婚」状態にあった女性の生涯未婚率は、’20年に17.8%と、30年の間に4倍にも跳ね上がり、およそ6人に1人が「一生に一度も結婚しないだろう」と言われるまでになりました。男性ではさらに多く、’20年時点で28.3%、既に4人に1人以上が生涯未婚者です(図表3)(’20年総務省「国勢調査」)。

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図表3 生涯未婚率(45〜49歳と50〜54歳の未婚率の平均値)の推移。『恋愛結婚の終焉』(光文社新書)より

未婚率が上昇した2つの大きな理由

ところで、いま50歳を過ぎて未婚状態にある男女、すなわち「生涯未婚者」とされる彼らの多くは、若いころから「結婚したくない」と考えていたのでしょうか。

おそらくそうでないだろうことは、データを見れば分かります。いまから40余年前の’82年時点で、「いずれ結婚するつもり」と答えた若年未婚者(18〜34歳)は、なんと95%前後(男性95.9%/女性94.2%)にものぼっていました(図表4)。

’80年の「生涯未婚率」の圧倒的な低さ(女性4.5%/男性2.6%)から見ても、昭和の若者は「結婚したい」というより、「結婚するのが当然」だと考えていたのでしょう(「第16回出生動向基本調査」/国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集2022」)。

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図表4 「いずれ結婚するつもり」の回答割合・推移(18〜34歳・未婚者)。『恋愛結婚の終焉』(光文社新書)より

その後、結婚を希望する若者の割合は減少に向かいましたが、それでも先述した通り、いまだに18〜34歳男女の8割以上が「いずれ結婚するつもり」としています。40年の間に、若者の結婚意向はさほど減らなかったのです。

ところが現実はといえば、’80年代半ばごろから、適齢期(25〜34歳)男女の「未婚率」上昇が顕著になりました。具体的には、’80年から’00年までの20年間で、女性の未婚率が、25〜29歳で2倍以上(24.0%→54.0%)に、30〜34歳では3倍近く(9.1%→26.6%)に達するようになったのです。

男性はそこまで極端ではありませんが、それでも’80年と’00年時点の未婚率を比較すると、25〜29歳で約1.25倍(55.2%→69.4%)、30〜34歳では約2倍(21.5%→42.9%)に増えています。

こちらも’85年以降、’00年までの伸びがとくに顕著な様子が見てとれます(図表5)(’22年内閣府「少子化社会対策白書」ほか)。

「いずれ結婚したい」とする男女がさほど減らない一方で、なぜこれほど未婚率が上昇したのでしょうか。

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図表5 25〜34歳男女・未婚率の推移。『恋愛結婚の終焉』(光文社新書)より

社会学的によく言われる理由は2つ、すなわち(1)バブル崩壊と経済不況(2)女性の社会進出、です。このあと順に見ていきましょう。