増える「マッチングアプリで結婚」
近年、結婚相手を探す際に、マッチングアプリをはじめとした便利なネットワーク系サービスを利用する人たちが増えています。結婚に至るカップルも、年間7.7万組程度はいるようです。
そうした状況を広く知らしめたのが、2021年の国の第三者機関による調査結果でした。
この調査で「夫と妻が知り合ったきっかけ」を見ると、「インターネットで」、すなわちマッチングアプリや(婚活系など)ウェブサイト、SNSなどによるやりとりがきっかけで知り合った夫婦が、婚姻カップル全体のおよそ7組に1組(約14%)にのぼっていました(図表10)(同国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」/※婚期が’18年7月〜’21年6月の夫婦の場合)。
’18〜’21年の平均婚姻件数(年)がおよそ55.3万組ですから、単純にそのうち14%が成婚したと考えると、年間およそ7.7万組がマッチングアプリなどのネットワーク系サービスで知り合い、実際に結婚したものと見られます。
翌年(’22年)の民間の調査結果を見ても、婚活アプリやサイトなど「ネット系婚活サービス」を通じて結婚した人が、婚姻カップルのうち10人に1人(約10%)いて、この割合は’15年(約3%)と比べ、約3倍に増えていました(同・リクルート・ブライダル総研「婚活実態調査」)。
別の民間調査では、さらにこの傾向が顕著で、’22年単年に結婚したカップルの5人に1人以上(22.6%)が、なんとマッチングアプリで出会ったと回答していたほどです(’22年明治安田生命「いい夫婦の日」調査)。
’22年といえば、新型コロナウイルスの渦中で、異性と対面で出会う機会が減った分、デジタルでの出会いに移行した側面もあるでしょう。ただ、先のリクルートの調査では、コロナ前の’19年段階でも、「ネット系婚活サービスで(出会った)」との回答が6%を超えており、同サービスの伸長は「コロナ禍」だけが理由ではないように思えます。
こうしたネット系のマッチングサービスは、見た目(プロフィール画像)や年齢、年収、学歴、職業といった登録者の資源やスペックを、「検索」によって瞬時に探したりマッチングできたりする利点があります。また昨今では、結婚情報サービス各社がデジタル技術を駆使し、AIマッチングにも力を入れているほどです。
まさに未婚化・少子化対策の切り札として注目される、マッチングサービス市場。’21年時点で、「利用経験あり」は、既に20代の3割弱にのぼります。伸びも堅調で、’21年〜’26年までの5年間で、市場規模は2倍以上に膨らむと予測されています(’21年「マッチングアプリの利用状況に関するアンケート調査」三菱UFJリサーチ&コンサルティング)。