日本にマクドナルドが上陸するきっかけをつくったビッグマック
マクドナルドの「ビッグマック」は、発売開始から半世紀以上が経過した現在も人気が衰え知らずだ。
異なる国の通貨の実質的価値を比較するための、“ビッグマック指数”という有名な経済指標もあるほど、あまねく世界中に広がったハンバーガー界のモンスター。
そんなビッグマックの不思議な魅力について考えてみよう。
2枚のビーフパテ、レタス、チーズ、ピクルス、玉ネギを3層のバンズではさみ、特製ソースをかけたそのオリジナルハンバーガーが、販売価格45セントでこの世に初登場したのは1967年のことだった。
生みの親は、ペンシルベニア州ピッツバーグにあるマクドナルドフランチャイズ店のオーナー、ジム・デリガッティ(1918-2016)という人物だ。
実はジムは、他店がすでに出していた2段重ねの大型ハンバーガーを参考にビッグマックを考案したらしく、生前、ビッグマックが画期的な発明というわけではなかったことを表明している。
だが自身が経営する店の限定メニューとして提供したところ、予想をはるかに上回る大ヒット。
ビッグマック狙いの客が連日押し寄せ、店の売り上げは一気に12%もアップしたのだそうだ。
翌1968年には、全米のマクドナルドが公式メニューとして採用。
その後はとんとん拍子で世界に広がり、ビッグマックはマクドナルドを象徴する人気メニューとなったのである。
このビッグマックの成功によって、マクドナルドはハンバーガーチェーンとしての地位をより確かなものとし、ファストフード業界の王者になったと言われている。
そして日本にマクドナルドが進出するきっかけを作ったのもまた、ビッグマックだった。
実業家・藤田田(1926-2004)がアメリカのハンバーガーチェーンを調査していた頃、1人の社員がマクドナルドのハンバーガーをあっという間に2つ平らげ、藤田に「社長、これは絶対いけます!」と太鼓判を押したのだとか。
その一言が、藤田に日本マクドナルドの創業を決断させたというが、社員が平らげたハンバーガーとは、何を隠そうビッグマックだったのだ。
2つをペロリというから、なかなか大食漢の社員だったに違いない。
1971年7月20日、銀座三越にオープンした日本マクドナルド第1号店のメニューにも、もちろんビッグマックはラインナップされ、その後も途切れることなくレギュラーメニューとして定着している。