日本のバブル崩壊と慢性デフレ不況の実相
そんな先読みで定評のある長江実業集団が、中国国内の不動産物件を2013年の1年間ですべて売り抜けた。このころ、中国の政府系エコノミストのなかには、「地方の中小都市では不動産バブルの破裂がすでに始まった」との見方が出るほどだった。
ただ、単に不動産や株式などの資産相場が暴落する事態を「バブル崩壊」と判定するのは不正確である。バブル崩壊というのは、厳密に言えば金融の現象であり、最終的には金融市場危機、あるいは金融機関の破綻となって、実体経済に流れるカネが凍りついてしまい大不況を招く。
例えば、こういう流れだ。資産相場が継続的に下落するなかで、不動産関連融資が焦げ付き、金融機関の不良債権が膨らむ。それが対外的に明るみに出たとき恐慌となる。こうして初めてバブル崩壊となり、銀行などには預金が集まらず、金融市場での資金調達もままならなくなる。銀行は新規融資どころではなくなり、貸出金をとにかく回収しようとするのでカネが回らなくなる。そうして国全体の実体景気が急速に落ち込み、長期不況に陥る。企業も経営難で収益率が下がるので株価も急落し、回復が難しくなる……。
これこそ、1990年代初めの日本のバブル崩壊と、その後の慢性デフレ不況の実相である。
2008年9月のリーマンショックもバブル崩壊の典型だ。リーマンショックは、2007年ごろに起きたサブプライムローン問題に端を発している。サブプライムローンと呼ばれる米国の低所得者向けの高金利型住宅ローンが不良債権化し、そのローンに基づく金融商品も立ちいかなくなった。そうして米国の大手ヘッジファンド、リーマンブラザーズの破綻が引き金になって起こったのが、リーマンショックである。