いじめ対策の3つの致命傷
結局のところ、教育長からは、旭川市で十分な数の専門委員や弁護士を集められないことが、調査が滞っている理由だという回答がありました。滞っているといっても、教職員や児童生徒への聞き取りはおろか、アンケートも実施されておらず、実質、具体的な調査は全く行われていなかったのです。
ここで大きな3つの構造的な問題が見えてきました。それは、
①いじめの積極的な認知を可能とする仕組みができていないこと
②中立で公平な第三者委員会が設けられていないこと
③第三者委員会によるいじめ重大事態の調査期限が設定されていないこと
爽彩さんへのいじめの疑いは明らかといってよいものでしたが、「いじめ防止対策推進法」によれば、 いじめの疑いを認定するのは学校や教育委員会であり(28条1項)、学校や教育委員会が「いじめはなかった」と言い張れば、「重大事態」としての対処が行われないということになってしまいます。
また、いじめの疑いがあったとして「重大事態」としての対処が行われることになっても、調査を行う第三者委員会が、「いじめがあった」となると不利益を被る学校や教育委員会の関係者によって構成され、中立性・公平性が保たれないケースが多々あります。しかも、いじめ重大事態の調査に期限がないために、ずるずるとその認定が先送りされ、被害の救済や再発の防止がないがしろにされてしまっていることも少なくありません。
これではこどもたちを救うなど無理です。