捕手と遊撃手での幻の二刀流プラン

内山は星稜中学時代には捕手で、星稜高校に進学した時点で、先輩に山瀬慎之助(現・ジャイアンツ)がいたため、1年生からショートにコンバートされた。2年生の夏の甲子園では奥川恭伸がエースで、内山は3番ショートで決勝まで戦って準優勝し、2年の秋に捕手に戻っている。

捕手と遊撃手での二刀流。高津監督の「内山壮真・育成プラン」を後押しした古田敦也の一言_2

そうした成長パターンを経ていたので、2021年頃には、なにを隠そう、僕は捕手と遊撃手の二刀流起用を考えていた。しかし、2022年に長岡秀樹が遊撃手に定着したので、このプランはなくなった。

しかし、長岡の成長ぶりからヒントが得られた。やっぱり、出続けた選手はうまくなるのだ。

内山の出場機会を増やすにはどうすればいいか? 外野だったらチャンスがあるかもしれない。では、捕手と外野手の二刀流はできないか? そう思いついたのである。

そこで内山を外野と捕手の二刀流でプレーさせることを編成に提案した。それはあくまで内山を将来の正捕手として育てるためである。ただし、中村だって黙っていないだろうし、外野手としても自らの沽券に関わる問題だ。とはいえ、またとない素質を持った選手だから、球団として二刀流に取り組んでいこうということになった。

内山の負担は増えるが、この時期に捕手として、そして打者として一軍の投手の球を数多く見て、経験を積んでもらう。それが数年後の大きな成長につながると考えている。

それは村上が、2年目の19歳から一軍に定着して打席を積み重ねていったことで、5年目の三冠王獲得につながったことでも証明されている。また長岡も、3年目にレギュラーとして定着したことで、20代中盤にさらに飛躍する機会を得られると思っている。