チョコレートを食べ過ぎると貧血状態になる
チョコレートの食べすぎは、糖質の取りすぎである。あるブランドのチョコレートは一袋で糖質約100gに相当するものもある。このような過剰な量の糖質を分解するためにビタミンBやCを消費してしまうため、ビタミン不足となる。
ビタミンBは、エネルギーを作るのに必要な栄養素であり、これが足りないと強い疲労を感じる。疲労を感じるだけでなく、神経の働きが損なわれて集中力が低下し、痺れや認知機能の低下、精神的な抑鬱状態、幻覚、痙攣などに発展することもある。
ビタミンCは、体内で40以上の働きをしているが、その一つは鉄の吸収促進である。つまり、ビタミンCが足りないと貧血になる。
足りなくなったビタミンBやCを食事から補うことができれば、大きな問題にはならないかもしれない。しかし、糖質の食べすぎを、菜々子のように食事を抜くことによってプラスマイナスゼロにしようとする人も少なくない。そうすると、必要な栄養素を補いきれない。そのようにして、多くの人、特に若い女性が疲れやすく、貧血の状態になっている。
欲求を抑えられない自分を認めたくない
菜々子は、糖質依存になっている可能性が高かった。本人としては、「疲労回復のため」に食べていると思っているが、それは、欲求を抑えられない自分を認めたくないので正当化しているだけだった。
糖質依存は、砂糖中毒とも呼ばれ、病気として扱われている。1989年にアメリカのキャスリーン・デメゾン博士は、糖質が鎮痛効果を示すことを見つけた。モルヒネと同じμオピオイド受容体に結合するために、痛みを感じにくくするのだ。
それだけなら嬉しい効果だが、糖質はドーパミンの分泌を増やす。だから、甘いものを食べるとモルヒネ効果で疲れという苦痛が軽くなり、ドーパミン効果で快楽を感じるのだ。
糖質依存は、人間だけに起こるものではない。ラットに25%の糖液と固形飼料を12時間好きなだけ食べられるようにし、その後、12時間絶食にした研究がある。すると、そのラットは、糖液なしで固形飼料だけのラットに比べて10日間で2倍量のグルコースを摂取した。特に12時間絶食した後の1時間では、過剰な食欲を見せた。
ラットの脳を調べると、ドーパミンD2受容体の数が減っていた。これは、薬物依存症患者と同じ状態だ。ドーパミンが出すぎる状態では、受容体が数を減らしてしまう。受容体が少なくなったら神経のスイッチが入らないので、ドーパミンの効きが悪くなる。すると、ラットは余計にたくさん糖液を飲んでドーパミンを増やそうとする。