河川などにおける中学生以下の「子ども」の水難者数は全体の1/4
報道記事等から河川財団が収集したデータでは、河川での水難事故の年齢は、年齢幅が広い「大人」が約4割を占めるが、中学生以下の子どもは全体の24%になり、小さな子どもの事故の発生率の高さをあらわしている。
「報道等から収集したデータをもとに、幼児・小学生・中学生の川遊びに見受けられる事故パターンを整理しましたが、被災者の年齢が幼児から小学生くらいだと、河岸から転落しておぼれてしまうケースが多く見られます。
幼児や小学校低学年の児童が一人で遊んでいて転落した場合は、初期対応や救助行動ができないケースが多く、転落が死亡事故に直結した事例が多く見受けられます。
中学生になると幼児や小学生の事故で見受けられる転落による事故は少なくなり、かわりに川遊びや遊泳中の事故が増加します。危険箇所や増水時の川遊びによる事故もしばしば見られます」(菅原さん)
子どもたちだけでの川遊びに危険が伴うことがわかるが、大人同士やグループ行動だからといっても安心ではない。
「2003~2022年の間の調査において『同行者あり(グループで行動)』中の事故を、同行者の構成別にみた場合、最も多いのは『大人のグループ』で、全体の1/3(約38%)を占めています。家族連れなど大人に引率されたグループでも事故が多く発生していることから、グループに大人がいても決して安心ではなく、大人・子ども共に安全管理を行うことが重要です」(菅原さん)
また、水難救助行動中の約15%で助けようとした人が被災するといった二次災害が発生している。
「救助行動中に二次災害が発生した場合の特徴的な点は、子どもが含まれるグループでの事故が多くみられることです。すなわち、『家族連れ』」・『中学生以下の子どもだけのグループ』・『大人に引率された子どものグループ』で最初の水難事故が起きた場合、同行者がおぼれた子どもを助けようとして飛び込むなどし、二次災害に至るケースが多くみられます。その場合の二次災害の被災程度の多くは死亡・行方不明となっています」(菅原さん)
このような悲しい事故が起きないように、川の特性を知り、事前の準備をしっかりする必要がある。
安全な川遊びのための対策#2では、なぜ浅瀬でも溺れてしまうのか、二次災害がなぜ起こるのか、川遊びのために装備しておきたいグッズなどを紹介する。
※記事内のグラフ、表はすべて河川財団「No more水難事故2023」より一部抜粋・転載
取材・文/百田なつき