「君の顔、便器に似てるね」「何を着ても作業服」…俳優・佐藤二朗の妻の残酷名言集。「Twitterやコラムを見てくださっている方には、僕より妻のファンのほうが多いんじゃないですかね」
初のコラム集『心のおもらし』(朝日新聞出版)を刊行した佐藤二朗さん(54歳)。コラム内でも語られているご自身の20代の頃のお話や最愛の奥様のこと、そして今後のお仕事のことまでを聞いた(全2回の2回目)。
佐藤二朗インタビュー#2(後編)
演じること、書くこと、撮ること以外ではあんまり広げるつもりはない
――佐藤さんは年齢を重ねるごとに仕事の幅を広げられて、人生もどんどん楽しくなってきているように見えます。
ありがたいことにいろいろなお仕事をいただき、本まで出させていただいて。けど、これ以上自由の幅を広げると、よくないとも思っています。
本当にいますぐ死んでもいいって思うぐらい食えなかった時期からしたら、家族もできて、
芝居で生活できるなんて夢のようです。役者として大東京で家族を持てるなんて思ってもみなかったですからね。
やりたいと思っていたことができるようになって、どんどんと生きていることが楽しくなってきましたが、いまは来年から撮影がスタートする映画に向けて監督から「少しやせてください」と言われているので、あらゆる方法を試しつつ、監督の希望に応えたいと思っています。あとは、さすがにいつまでも精神年齢8歳では困ってしまいますし、息子にも抜かれてしまったので、もう少し上げていきたいと思っています(笑)。
――今後お仕事で新たにチャレンジしたいことなどはありますか?
基本は演じること、書くこと、撮ること以外ではあんまり広げるつもりはないんです。
舞台役者からはじめ、テレビや映画のお仕事を多くさせていただくようになったという点では成功したと思われるかもしれませんが、ずっと舞台の世界で全うしている人に言わせたら、「なんでテレビなんか出るの?」って感じですから、自分のやっていることが成功か失敗かはわかりません。
自分としてはただただ、やりたいことをやっているだけ。Twitterにしても、ただつぶやきたいからやっていますし、ウンコと書きたいから書いてるだけですから。
取材・文/栗原正夫 撮影/井上たろう スタイリスト/鬼塚美代子(アンジュ)
ヘアメイク/今野亜季(A.m Lab)
#1(前編)『自称・精神年齢8歳の俳優・佐藤二朗(54歳)「ものすごい勇気を持って“ウンコ”ってつぶやいているわけではない。本当につぶやきたいから、心から漏れてるだけ」』はこちら
2023年6月20日
1,870円
344ページ
ISBN:978-4023322882
俳優・映画監督・脚本家、そしてバラエティ・教養番組のMCとして、その姿を見ない日はないほど幅広く活躍中の佐藤二朗氏。フォロワー数200万人超のTwitterは、ファンに笑いや安らぎのひとときをもたらし、仕事も家事も育児も世の中も、全ての疲れを吹っ飛ばしてくれると、ひそかな“中毒者”が増え続けています。本書は、そんな佐藤氏初となるコラム集。
Twitterでもおなじみ、意味不明のようで滋味すら感じられる「酔っ払いネタ」やオリジナリティが過ぎる「妻」の毒舌考、「永遠の精神年齢子ども論」などに加え、日々の出来事へのやさしくも鋭い考察、表現者としての“ジローイズム”が満載。また、衝撃的な未発表作品含む脚本5作も収録。未だ見ぬ「佐藤二朗」と、安心安全安定の(ちょっと不安で危険でもある)いつもの「佐藤二朗」と、あらゆる角度から出会えるであろう一冊です。
装画は、佐藤氏の永遠のバイブル『ザ・ワールド・イズ・マイン』の作者であり、出演映画『宮本から君へ』)の原作者、漫画家の新井英樹さんの描き下ろし。「つぶやき」の吹き出しも新井さん直筆という特別仕様。
内面は「永遠の約8歳児」とはいえ、いろいろ漏れてしまうお年頃。その中から、本書は「心」のおもらしに限定しているのでご安心ください。
吹き出したり、今日のモヤモヤ・イライラがどうでもよくなったり、一緒にとことんいじけてみたり、しんみりしたり、家族をいとおしく思ったり、佐藤二朗氏の出演作が何倍もおもしろくなったり。そうこうしているうちに、いつしか、あなた自身も感情をおもらししてしまうかもしれません。