大腸がん検診
大腸がんの死亡数はがんの中で2位です。非常に警戒が必要、かつ有効な検診が存在するがんなので、しっかりと対策をしておきましょう。まず、結論から申し上げると、とにかく有効なのが「便潜血検査」です。
簡単に言えば検便です。便潜血検査は、便の中に混じった血の成分を検出し、大腸がんの早期発見につなげるものです。大腸がんではがんから血液の成分が漏れます。
このわずかばかりの血液が出ているか出ていないかを拾い上げ、陽性の方は大腸カメラで中を覗き、がんの有無を確認するという流れになります。このように非常にシンプルな検査なのですが、大腸がんの死亡率がなんと20%低下したというデータもあり、アメリカの予防医学専門委員会でも、強く推奨する検査(グレードA)となっています。
そして、便潜血検査ははっきりとおすすめできる検査になるのですが、残念ながら日本では4割程度の方しか受けていない現状があります。ぜひとも便潜血検査を受けてほしいと思います。
あえて欠点を挙げるとすると、慢性的に痔を抱えている方やクローン病など「炎症性腸疾患」という病気をお持ちの方にとっては少々使い勝手が悪いところでしょうか。こういった方々はどうしても普段から便に血が混じりやすいので、毎回のように便潜血が陽性に出てしまうからです。
とはいえ、基本的には便潜血検査が陽性であれば次の精密検査(大腸カメラ)のステップに進むという認識で良いでしょう。こういった方々はどうしても普段から便に血が混じりやすいので、毎回のように便潜血が陽性に出てしまうからです。とはいえ、基本的には便潜血検査が陽性であれば次の精密検査(大腸カメラ)のステップに進むという認識で良いでしょう。
肺がん検診(低線量CT)
日本で死亡数1位のがんが肺がんです。胸のレントゲンの検査で肺に影が写り、肺がんが見つかる人もいなくはないですが、胸のレントゲン検査は昔の結核予防のために行っていた名残であり、肺がんを早期発見し、死亡率の低下につながったというデータが特にあるわけではありません。
昔からの慣習で行われている部分も少なからずあるでしょう。痰の検査(喀痰検査)も同じです。効果が証明されているわけではありませんし、そうそう都合よく検査の時にしっかりした痰が出る人ばかりではないので、ほぼ唾液のような検体を提出してしまう場合もあります。これではほとんど意味はありません。
唯一といっても良いであろう、肺がん予防に有効とされている検査が「低線量CT」です。胸のレントゲンだけを撮影した人と比較した結果、肺がんによる死亡率が20%程度低下したというデータもあります。
低線量CTに関しては、行われている施設は「肺がんCT検診認定施設」に限られますが、55歳以上で、ヘビースモーカーの人にはぜひ受けてほしい検査になります。
基本的には、皆さんご皆さんご存じだとは思いますが禁煙が一番の予防法です。それでもどうしてもたばこをやめられない、もしくはたばこと共に生きていくという決意をされた方は、せめて低線量CTは検討しても良いかもしれませんね。
文/森勇磨
写真/shutterstock