前科8犯の覚せい剤まみれの親の写真を飾っている子供
――それからどうなったんですか?
だから警視庁に持っていったんだけど、「まだ大したことないレベルだから扱わない」と言われて。私たちがすっかり忘れたころに逮捕されました。逮捕当時、私はメディアの取材も受けましたが、それはK子に会わせろという連絡がたくさんきたからなんです。彼女はもうカタギだから、守らなきゃいけない。あのときにちゃんとパクってたら、こんなことにはなってないだろと思いましたよ。
かつてのK子は、その界隈では本名も知られてるくらい超有名人なんです。みんな口を揃えて「ぶっ飛んでたよね」と言っていました。薬物に関して行くとこまで行ったような奴は、いざ足を洗ったときに別の社会での頑張るエネルギーがすごいなと思いましたね。
――しかし、そこまで行き切った人が、更生できるものなんですか。
何度もスリップ(薬物の再使用)してますよ。ちょっと孤独になったり、あるいは夜のネオンを見ただけでもフラッシュバックしますからね。だから、5日間くらい消息不明になったときは、大体スリップしているな、と。
で、ちょうど尿から薬物が出てこないくらいの時期にひょこっと出てくるんです。私は口癖のように「今から所轄行ってしょんべん出すぞ」とK子に言い続けて、その積み重ねでようやく本当にやめられました。ただK子はあくまでも例外で、依存症は病気なので、精神科の専門治療を受けないと難しいと思います。
――薬物事犯は、何度も逮捕されている人が多いですよね。
やめられないんですよね。私はいま北九州で児童養護施設の運営に関わっていますが、シャブを食いまくってるお母さんに限って子供をポンポン産むわけです。実は11月から、児童養護施設を舞台にした『それでも、親を愛する子供たち』という漫画をくらげバンチでスタートさせるんですが、その取材にいくと覚せい剤で前科8犯という親の子供もいるんですよ。子供は真実を教えてもらっていないから、部屋に写真を飾って「お母さん、大好き!」って。
その母親に必要な場所は刑務所ではなく、精神科病院での治療ですよ。でも、それを本人が望んでいない。何よりも可哀想なのは子供です。これも専門家は言いませんが、シャブを食ってるお母さんからは、機能的な障害を持った子が生まれくることもあります。頭が変形していたりするんです。新しい漫画では、そういった児童養護施設の現実を伝えていきたいと思っています。